
65_Small changes 「小さな変化」
ジャスミンが言った。「あら…、セイド。また会えて嬉しいわ。お久しぶりね」
「あ……うーん……やあ」セイドは、彼女のはだけた胸を見つめまいと必死で、思わず言葉もしどろもどろになっていた。ジャスミンは、エプロンひとつの格好だった。当然、その完璧な曲線美を誇る体はほとんど隠されていなかった。セイドは落ち着かない様子で手で髪の毛を掻いた。「ぼ、ボクたち、会ったことがないと思うんだけど。ボクはセイドという者だけど」
「あなたのことは知ってるわよ。子供の頃からずっと知ってるけど」
セイドはぎこちない笑みを浮かべた。「キミとどこかで会ったかもしれないし、それを覚えていなくちゃいけないんだけど……」と、言ったとき、セイドの義理の姉のダイアナがキッチンに入ってきた。セイドはダイアナに訊いた。「グレッグはどこ?」
ダイアナは笑い出した。「まあ、これって完璧。ほんと完璧。ねえ、あなたもそう思わない?」
セミヌードの美女は頷いた。「そう思うなら、彼に説明したら?」
「言葉で説明するより、実際に見せた方が良いと思うわ。違う、ジャスミン?」 エプロンの彼女が気乗りがしない表情を浮かべながらためらっているのを見て、ダイアナが言った。「こうなるのは知ってたでしょ? やりなさい」
ジャスミンはため息をついた。「子供の頃から知ってると言ったとき……」彼女はスカートをめくりながら言った。「別に誇張してたわけじゃないわ。お兄さんだから言うわけじゃなけど……」
セイドが、場違いと思える脚の間の余分な存在に気が付くのにかなり時間がかかった。彼が、その小さなモノと、ジャスミンの言葉と、ジャスミンの否定しようがない馴染みがある表情との3つの間を関係づけるのに、さらにもっと長い時間がかかった。
「ぐ、グレッグ?……ああ、何てことだ、グレッグなのか? 本当に? こ、こんなことって。ありえないよ、こんなことって………」
「説明するわ」とジャスミンはセイドの肩に手を触れようとした。だが、セイドは汚いモノに接したかのように跳ねのいた。
「一体何なんだ?」セイドは半分絶叫になっていた。「何で、なんでこんな格好になってるんだよ……まるで分らないよ……」
ジャスミンは妻の方を見た。「あたしにはできない。……あたしには無理」
「いいわ」とダイアナが言った。「いいわ、だったら、あたしがするから」
何の前触れもなく、ダイアナは後ろのジャスミンに手を伸ばし、情緒不安定になっている彼女を平手打ちし、結果として彼女を黙らせた。「ジャスミンはあなたのお兄さんだっただろうけど、今は、あたしのメス奴隷。繰り返し浮気をするのにうんざりしていたのよ。だから、それをやめさせた。話は以上」
「で、でも……それは……」
「彼女をあたしの可愛い従順な主婦に変えてあげたの。彼女はストリッパーもやってるわ。どうにかして、代わりの収入が必要だから。でも、それは話しがそれることよね」
「で……でも、どうして?」とセイドは言い、ジャスミンを見た。「なぜ、こんなことを?」
「あたしを愛しているから。以前の自分自身のことを悔やんでいるから。それに、何より、心の奥では、ずっと前からジャスミンはこういう可愛いエロ娘になりたがっていたから。さあ、もうこれはこのくらいにして、みんなで美味しいディナーでも食べましょう?ジャスミンはずっと朝から頑張ってきたのよ。そんなお食事が台無しになったらイヤだわ」