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65_Understand 「理解せよ」
人生は偽りの生活を続けるには短すぎる。
ありのままの自分になれ。理屈の点では、これは実にシンプルな考え方。ありのままの自分になれ。人生が、本当に、この考え方のようにシンプルなら、どんなに素晴らしいだろう。でも、ここは現実の世界。差別や偏見やヘイトに溢れている世界。ありのままの自分になれという考え方は、場合によっては、人を死に追いやることもあり得る。
これは、落ち込ませるような事実だけれど、現実だ。
しかしながら、私たち人類にはパワーがないわけではない。私たちには世界を変えることができる。世界を、私たちみんなが誇りをもって生きていける世界に作り直すことができる。人によっては、そうすることができるとは言わず、そうしなければならないと言う人もいるかもしれない。
そう、私たちは皆ひとりひとり違っている。しかも、その違いはたくさんある。性も人種も政治的立場も。その違いはあまりに多くの点で問題に思えるが、これら細かな点で私たちはひとりひとりみんな異なる。その相違点の多さに、越えられない壁のように感じられるかもしれない。そのような他との数々の相違点。でも、それらは私たちを分断させる。私たちを孤立させる。私たちを世界から疎外する。その結果、私たちは今よりずっと不幸な状況に追い込まれる。
違いがあることは重要だ。違いがあることにより私たちは他とは異なる私たちとなっている。しかし、それにもまして、私たちは、みんな、突き詰めればある集団の一部になっているということを忘れてはならない。私たちはみんな、人間性というパズルのひとつのピースなのだ。
だから、私はこう言う。単に、ありのままの自分になるだけではだめだ、と。それでは充分ではないと。周りの人々を理解しようとせよ。周りの人々を愛そうとせよ。友にせよ、敵にせよ、家族にせよ、人は誰も、あなたが思っているよりずっと複雑な存在なのだ。あなたの人生、意見、あなたを形成している様々な細かな点。それらは重要だ。だが、それはあなた以外の誰にとっても同じことなのだ。
人間として、このことを理解するのが早ければ早いほど、私たちは、早く、私たちひとりひとりのあるがままの姿を互いに受け入れられるようになれる。