
66_Offensive takeover 「攻撃的な買収」
「え、うっそー。アレ、彼なの? ハリソンさん?」
「今はキャンディ。でも、そうよ。彼よ」
「でも、この前、彼を見たときは彼は……」
「まだスーツを着ていた。彼を見たのは射精禁止時期の頃だったんじゃない? 彼、やめられなかったのは残念よね。でも、いまだに、不適切な発言をしがちなのよ、彼」
「でも、どうして服を着てないの?」
「懲罰。全部、懲罰。最初の問題について知ってるわよね? うちの会社がHHGに買収された直後、彼、インターンにお世辞を言ったのよ。少し体重が減ったかなって。そのせいで彼は管理者からの検察対象になったのよ。その後も彼は次から次へと問題行動を起こして、最終的には射精禁止にされたわけ。そうなったらどうなるかは知ってるわよね? いったん貞操帯をつけられたら、みんなの格好の標的にされるわけ。やり直すきっかけすらないまま、一気に秘書の身分に降格されたのよ」
「でも、ハリソンさんって、この会社のオーナーじゃないの!」
「まあ、一部は所有してるわ。前にも言ったけど、HHGが会社の統治権利を買収したの。いったん秘書になったら、社内を素っ裸というかハイヒールだけを身に着けて歩き回るようにさせられるまで、あっという間よ。でも、その状態って、うちの会社の他の男子とあまり変わらないわよね。本当の変化は、クイーンさんが、彼のケースに特別の関心を持ってから始まったと言えるわ」
「それで、クイーンさんが彼をアレに……あの姿に変えたと?」
「あなたも、もし、うちの会社で働くつもりなら、あれに慣れておくべきね。来週、クイーンさんは、会社全体の方針変更を発表するわ。会社の男性は、女性の上役の真似をするべきだとする方針。男子社員の中には、少なくとも自分の肉体は周りに攻撃的に映ってると認めてる有能な男子社員だけど、彼らはスカートとかを身に着けるのが許されると思う。でも、そうでないと、あそこにいるキャンディみたいにされるんじゃない? すごく楽しみな方針変更になるんじゃないかしら」
「あたし……ああいうのに慣れられるといいんだけど」
「そうしなさい。そうすれば、うちの会社に馴染むと思うわ」