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66_Mr_polular 「人気者」
「ぼ、ボク、こんなの着れないよ。本当に」
「バカ言わないで、ジェシー。着れるに決まってるじゃない。とても綺麗よ。それに、その色……とっても可愛い」
「お願いだよ、マリア。お願いしてるんだよ。こんな服、着せないでほしいんだよ。もっと言わせてもらえれば、行きたくないんだよ。誰もボクが欠席しても、気にしないよ。10回目の同窓会でしょ? たいしたことじゃないよ」
「バカね。みんな、あなたが来ると思ってるわ。あなたの昔の溜り場に行けると、あたし、あなたがワクワクしてるものとばかり思っていたわ。昔の仲間に会って、栄光の日々を思い出せるのよ。トロフィー・ケースにいまだにあなたの写真を飾ってると聞いたわ。当然じゃない! あなたは学校の歴史中、州のトップに勝った、たったひとりの英雄なんだから」
「で、でも……つまり……どうしても出席しなくちゃいけないなら、普段、仕事に着ていく格好でダメ?」
「何言ってんの? あんなみっともないスーツを着ていくって? ダメダメ。一生懸命、そのカラダを作るために頑張ったんでしょ? それを隠しちゃだめよ。それに、あたしも、あなたのことをみんなに見せびらかしたいし」
「でも……」
「マジで言ってるの。あたしが、あのジェシー・ジェームズと一緒になるなんて、誰が信じたと思う? あたしが、あの人気者のジェシーとよ! 当時は、ほんと、あたしは目立たなくて、透明人間みたいだった。それに対して、あなたは、どこに行っても人気者だった。故郷のヒーロー、プロム・パーティでは引っ張りだこ。どのチームに入っても、キャプテン確実」
「そんなのずっと前の話しだよ」
「そんなに前のことじゃないわ。それに、当時、あなたが誰と付き合ってたか、覚えてる? モーリー・キャンベルよ。あのアバズレ女! でも、当時は、みんな彼女を崇拝していた。知ってる? 彼女って3人くらい子供産んで、今は小型トラクターみたいな格好になってるんだって」
「それは知らなかったけど、でも……」
「んもう、本当にそのドレスのこと分かってないの? それって彼女がプロムの女王になったときに着てたドレスなのよ!」
「え、……ああ、何と……お願いだよ、マリア、どうしても……」
「イヤの返事はダメよ。あなたは出席するの、そしてあたしが着てと言った服を着るの。会場に行ったら、女子のロッカールームに行って、お口を使って、あなたがいつもやってることをやるの。そうすれば、みんなも分かるわ。みんな、自分たちが崇拝してた黄金ボーイだったあなたが、あたしの可愛いエロビッチになってると分かるから。どうしてあなたがそんなことをしてるかも、みんな、分かるから」
「ぼ、ボクが君を愛してるからと?」
「違うわよ。バカね。あなたがあたしを憎んでるのは知ってるわ。これを始める前はあたしを憎んでいなくても、今は確実にあたしを憎んでるでしょ? あなたが女子ロッカーでそんな口唇奉仕をするのは、他に道がないからよ。あたしが機嫌を損ねたらどうなるか、分かってるからやるわけ。これから20年くらい監獄で収監者たちのおもちゃとして暮らしていくのがイヤなら、あたしの言うことをすることね。さあ、文句を言うのは止めて、ハンドバッグを持って、出かけましょう。遅刻したくないわ」