
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従弟が大学を卒業し、僕のところに住まわせてくれと言ってきたけど、僕はどうしようか迷った。でも、彼は僕が住む都市で職を得たので、まあ、彼には他に頼る人もいないことだし、仕方ないかと僕は承諾した。
驚いたことに、彼は完璧な同居人だった。清潔好きだし、整理整頓もちゃんとするし、物静か。滅多に僕の邪魔になることはない。部屋代も割り勘にしてくれて、期日きっかりに払ってくれる。
男なのに秘書の仕事をすると聞いて、確かにちょっと変だなとは思った。でも、彼に言わせると、就職したてのレベルでは、それは良い仕事なのだと言っていた。僕に口出しできることではなかった。
ちょっと彼の服装が変わってきた時も、僕は全然気にしなかった。やがて女性のスーツを着始めたのに気づいたけど、まあ、似合っていたからいいかと思った。彼の人生だし、僕は、それを批判する立場にはない。
でも、部屋に入って、彼がシビアン・マシン(
参考)に乗っているのを見たときは、これは僕にも関係することだと思い始めた。胸も大きく膨らんでるのも、もちろん問題だった。そこで僕は、仕事の契約はどうなっているんだと訊いた(もちろん、彼がマシンから降りて、服を着た後だが)。
彼の説明によると、彼の仕事には一定の条件があるらしい。服装規定だけにとどまらない。もちろん彼は自慢げに語ったわけではなかったが、彼は「上に登る」ために、上司と寝ているらしい。
そんなことをするのはおかしいと伝えた。彼自身の力で「上に登る」ことができるとも言った。でも彼は話しを聞こうとしなかった。これしか道がないと言い張った。
彼のことは、僕には関係のないことだ。それは知っている。でも、その「上に登る」という話自体がただの言い訳に過ぎないと思った。でも、どうでもいいや。これは彼の人生なのだから。