ようやくスティーブが口を開いた。
「それで、ポーター氏と知り合いになったいきさつは?」
バーバラは目を細めた。この質問は予想しておらず、即答できる答えは考えていなかった。
「答えを言う前に、一言言っておくと、僕は絶対的な真実しか受け入れない。もし、この結婚を救うチャンスがあると思っているなら、・・・多分、そう思っているから、ここにいるのだろうけど・・・もし、そう思っているなら、この件に関して、一切、嘘をつかないことだ。いいかな? バーバラ」
バーバラは、少し間をおき、頷いた。スティーブは手のひらを上にして手をあげ、バーバラに頷いて見せた。話を続けるようにという身振りである。
「彼の会社は私たちの会社と同じビルに入っているの。ビルの中のカフェテリアで、ある日、知り合って、話すようになったのよ・・・実際、あなたも、予断なしに彼と知り合ったら、きっと気に入ると思うわ。いつもそういう風に不機嫌になるのをやめて」
スティーブは、そこまでのバーバラの発言に関しては、あえてコメントせずに通すことにした。ただし、敵意から、どうしても唇を歪ませてしまう。落ち着くために、一度、深呼吸した。
「つまり、君の職場の1階ロビーのところにある小さなレストランで出会い、それから、彼の夫婦生活について助言を与えてきたということかな?」
バーバラは頷いた。
「・・・で、情事はなかったと?」
バーバラは、まったくないと頭を振った。
「セックスも?」
バーバラはスティーブをにらみつけた。
「もちろん」
「キスもハグもなかった・・・彼が触るべきでないところを触ることもなかったと?」 スティーブは冷静に訊いた。
「決して!」
バーバラは力を込めて言った。スティーブは何も言わず彼女を見ていた。長い時間が流れた。