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ハリーはずっと前から俳優になりたいと思っていた。映画を観て育ち、すでに幼い頃に、自分は銀幕に映りたいのだと自覚していた。だから、多くの初心な若い男女がそうであるように、彼は18歳になるとすぐに、バッグに荷物を詰め、ロスアンゼルスへと旅立った。
そして、そんな多くの初心な若い男女がそうであるように、彼はすぐに、俳優になることは想像していたよりもずっと、ずっと難しいものだと気づくのだった。演劇の才能のある者ですら、何かブレークが必要なのである。だがハリーには、その肝心のブレークがやってこなかった。すでに何ヶ月も経っていたが、何も起きない。
もう荷物をまとめて故郷に帰ろうとしていた時だった。ひとりの男が彼にあるチャンスを持ち掛けたのである。その男は正直にハリーに言った。その映画はポルノだったのである。ハリーは2日間、どうしようかと葛藤したが、結局は、妥協することにしたのだった。俳優になるためにはどんなことでもすると。この役は一時的なものだ。映画の世界に入るための一歩に過ぎないのだと。
だが、撮影現場に行くと、その映画が想像していたタイプのポルノとは違うことに気づいた。後で分かったことだが、ポルノで人気があるのは、可愛い、合法的な年齢に達したばかりの若い女の子ばかりではないのである。可愛い、合法的な年齢に達したばかりの若い女性的な男の子も、同じくらい人気があるのであった。……そして、そんな若い男子は女の子と同じタイプの「役」を演じるよう期待されているのである。
それから2年。ハリーはこの業界で最も人気があるポルノスターのひとりになっている。これは、大きくなる時に想像していた仕事ではないが、少なくとも、演技はできるようになっている。例えば、この写真のシーン。彼は女性相手のこのシーンで、心から喜んでいるように見える。だが彼は男優相手の方が嬉しいと思っているのが事実なのである。