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05 Feminized secretary 「女性化秘書」
ボクはバイクが大好き。子供の頃からずっと。これからもずっと。だけど、家が貧乏だったので、バイクを買うことができなかった。すごくイライラした。何が欲しいかはっきりしているのに、手に入れる手段がない。
そこでボクはあることを思いついた。ジミー叔父さんのところで働くのはどうだろうと。ジミー叔父さんは、正確には、ウチの家系とはつながりはない。お父さんのずっと前からの友人ってだけ。でも、子供の頃からあたしはジミーさんを叔父さんと呼んできた。ジミー叔父さんはお金持ちだった。この町の半分は、叔父さんが所有している。だから、ボクが仕事させてと頼んでも叔父さんには大したことじゃないだろうと思った。もし働けたら、それでバイクを買える。
18になったとき、叔父さんのオフィスに行った。必ず何か仕事をくれるだろうと自信満々だった。でも、実際は、ジミー叔父さんは、何も仕事がないなあと言った。「……まあ、あるにはあるが、お前はやりたがらないだろうし」と。ボクはその仕事について訊いた。……いや、是非、教えてくださいと懇願した。そして叔父さんは教えてくれたのだった。それは秘書の仕事。
ボクでも分かる。男が秘書になる? そんなの普通でないと。でも、ボクは本当に、本当に仕事が欲しかったので、その仕事をやらせてくださいと答えたのだった。そうしたら叔父さんはボクに条件を言った。……まずは服装規定があること。ある種の容姿をしてる必要があった。人は、叔父さんのような権力を持った人には、それなりの容姿の秘書がいるものだと思うものらしい。叔父さんはボクがしなくちゃいけないことを列挙した。ボクがその仕事をしたかったかって? いや、全然。でも、その仕事は目的のための手段だった。だからボクは同意した。
そして、これが今のボク。6ヶ月働いて、この新車のバイクを買った。ジミー叔父さんは写真を撮るとき、裸になるよう言い張った(叔父さんは時々そういう変態っぽいことを言う)。しかも叔父さんはバイクはピンク色にしろとも言った。確かに、ボクはやりたくないことをたくさんやらなくちゃいけなかったけど、今から思うと、そんなに悪い仕事でもないと思ってる。それにバイクも買えたし。だから、これでいいと思う。