
07 Sissy son 2 「シシー息子2」
息子のタイラーのことがちょっと心配。表面的には、何も問題ない。今まで以上に友達もできたし、ガールフレンドもできた。でも、毎日、息子を見ると、どこか変だなあって思ってしまう。
例えば、今朝、息子を起こしに部屋に入ったときのこと。……どう言ったらいいのかしら? ストレートに言ってしまうことにするわ。彼の服装が、今までよりずっと女っぽくなっている。そして、それに気づいたら、他のいろんなことが全部一気に腑に落ちた気がした。
確かに、息子が髪を伸ばし始めたのには気づいてた。それに、はっきりとお化粧もしているのが分かる。でも、髪をがなくしてる男とか化粧をしてる男はテレビでよく見ているし。男の子がそういうことをするのはバカげてるとは思うけど、あたしが人のことを判断できるわけじゃないでしょ? 多分、最近の若者たちはそういうことをするんだなあって、そんなふうに思っていた。
それに体つき。息子の体が全然男性的じゃないことに気づかない、なんてありえない。あのヒップ。それに筋肉もほどんどない……でも息子は元々スポーツマンタイプじゃなかったし。それに、体つきについては息子自身ではどうしようもできないことでしょう? そうじゃない?
服装も。……ぴちぴちのジーンズ、短いショートパンツ、おへそが出てるトップ、それにちっちゃな下着(ソングすらいくつか持ってる)。でも、若者って昔から変わった服装をするものだった。だから変な服装をしても、理解を示してあげたいと思ってた。息子には新しいことにチャレンジするような人になってほしいから。
でも、今朝、タイラーを起こしに行って、息子が新しいパジャマを着て寝ている姿を見て、急に分かったの。息子は……「息子」って呼べるか分からないけど……彼はシシーなんだって。ずっと前から。そして、息子はそういう状態でいることが一番快適と思ってるんだって。
あたしは息子に何か言いたかった。大きな声を出したかった。男物の服を着なさいって言いたかった。でも、できなかったわ。どうしてできると思う? これが息子にとってはとても自然なことなの。これが息子の本当の姿なの。母であるあたしが何を望んでも、それは変わることはない。あたしは息子のことを受け入れなければならないの。