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08 It's a living. 「生活のため」
小さい頃に、あたしは、どういうわけか分からないけど、男の人があたしに惹かれるのを知った。多分、あたしが比較的、体つきが小さかったからかもしれないし、顔つきが可愛らしかったからかもしれない。何かの化学反応みたいなものだったかもしれない。知らないけど。ともかく、これまでの人生、あたしはいろんなタイプの男たちに言い寄られてきた……しかも、たいていはストレートな男の人だった。そして時間と共に、あたしの方もちょっとだけ、そういうふうな状態が好きになっていた。あたしは、男の人に惹かれたかって? 多分そう。でも、当時、自分はどう思っていたかって、思い出すのが難しい。
でも、同じ経験をした人が多いと思うけど、学校を卒業した時、あたしは就職ができなかった。あたしが男の人に頼って生活するようになるのに時間がかからなかった。言い寄ってくる男の人にいろんな物を買ってもらって生活する。住まいとか車とか、いろいろ。
ホルモンも摂り始めた。それにいくつか小さな整形もした(もちろん男の人のおカネで)。今は……まあ、今は(名前は伏せるけど)とある有名なミュージシャンのステディなガールフレンドになっている。彼はあたしが欲しいものを何でもくれる。まあ、あたしの方も、彼がしてほしいことを何でもしてあげているんだけど。誰だって、どうにかこうにかして、生活していかなくっちゃいけないでしょ?
今あたしは幸せかって? そう思う。よく分からないけど。ステキな物を持つのは好きだけど、でも……よくわかんない。