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67 Close 「あと一息」
別に、あたしは、最初からセクシー女になるつもりでいたわけではない。誰でもそうだとは言えないけど。でも、だからと言って、あたしがセクシー女そのものだという事実は変わらない。
ちょっといい? あたしには分かる。あなたはあたしを見て、こういう姿になるのを望まなかったならどうして、こういう姿になったのか分からないと言うと思う。多分、あなたは、あたしがずっと前からこうなることを夢見てきたのだと思うだろう。子供の頃にバービー人形を見て、「こんなふうになりたい!」と言っていたと、そう思うだろう。
まあ、こう言っては大変申し訳ないけど、あなたは完全に間違っている。あたしは、他のたいていの男の子と同じように育ってきた。当時なら、あなたも、あたしと他の男子との違いが分からなかっただろう。もっと言えば、あたし自身、思春期に差し掛かるまで、自分には他と違うところがあることに気づいていなかった。
その時のことをはっきり覚えている。姉のパンティがそこにあって、誰も見ていなかった。正直、自分でもなぜなのか分からないけど、あたしはそれをポケットにしまった。あの時まで、あたしは、女物の服を着るなど一度も考えたことがなかった。でも、あの夜に、すべてが変わった。
自分の部屋に入って、ドアにカギをかけ、そのパンティに脚を通した。その下着でぴっちりと下半身を包んだ瞬間、あたしの中の何かが目覚め、そして、その結果、あたしは生まれて初めての射精をしたのだった。あの時、パンティを履いたあたしは、他に何をしてよいか分からなかったので、ベッドに飛び込み、掛け布団の中に潜った。でも、うつ伏せになったとき、その圧力がとても気持ちいいのに気づいたのである。特に、シーツとシルクのように滑らかなパンティが擦れる感覚にうっとりとなった。
本能的に、あたしは腰を上下に振り始め、その動きによって、ゾクゾクするような快感が股間に広がってくるのを感じた。たった数回、腰を振っただけで、あたしは、あの生まれて初めての射精に至った。そしてあの瞬間から、あたしは完全にこれにハマったのだった。
でも、あたしは、この行為を隠し続けた。あたしと同じことをする人が世の中には何千人もいるのを知ったときでも、あたしは隠し続けた。自分と同じような男子についての話しを読んだ。美しい女性になるためにホルモンを摂取したり、整形を受けたりする人の話しも読んだ。ペニスがついた美しい女性たちのビデオを何本も見た。そして最後には、自分が何を求めているか、自分のために何をしたいかを悟ったのだった。
そして、高校を卒業すると同時に、あたしは自分がしたいと思ってきたことを開始した。そのためのお金をどうやって都合したかを自慢するつもりはない。カメラの前でアソコをいじって見せるのは屈辱的だったけれど、整形手術やホルモンは高価だった。それに、ホルモンや手術の結果を見るたびに、もっと多くを求めるようになっていった。もっと大きくしたい、もっと女性的になりたい、もっとセクシーになりたい、と。完璧になりたかった。
あたしの変身が、女性の肉体を得るだけでは終わったと言えないのは知っていた。肉体の特定部分が異様に巨大化することで達成されると。手術を受けるたびに、完璧さの目標には近づいたけれど、同時に、欠点も浮き彫りにされることにもなった。そして今は? 今、あたしは、さらに良い姿を求めるという永遠に続く自己改善の循環を繰り返している。
そういうわけで、今のあたしの姿がある。あなたはあたしを見て、整形ありありのセクシー女と思うだろう。自分でもそう思う。でも、あたしは、もう1回だけ整形手術を受ければ完璧になると思っている。毎回思っている。実際は1回で終わるわけではないと分かっているのに。もうやめたいと思っているけど、どうしてもやめられない。本当にやめたいと思ってるのに。でも、もう少しで完璧になれるのだ。あと一息なのだ。