67 Living the dream 「夢を生きる」
女性がふたり、公園を手をつないで歩いていた。背が低い方のアンナが笑顔になり、もう一方の女性に嬉しそうな顔を向けた。「アレックス? ここ、いいんじゃない?」
アレックスは辺りを見回した。彼女はアンナとはまるっきり逆の見方をしていた。「家に帰りたいわ」 人とすれ違うたびに疑いが生まれている様子だった。「みんなにバレてるわ」
「そんなことないわよ、アレックス」 アンナはそう言ってアレックスの手を握り、引き寄せた。「それに、バレたからと言って、誰が気にするの? あたしたちは大人なの。したいことをすることができるの。それであたしたちが幸せになるなら、他人につべこべ言われる筋合いはないの」
アレックスは握られた手をひっこめた。「誰が気にするのって? そんなこと言うの? あたしが気にするわ! こんなこと間違ってるって思うもの。本当に。でも、あたしの話しを真面目に聞いてくれる気があるの? もちろん、そんな気はないわよね。あなたは、これを単なるちょっとしたお遊びとしか思ってないもの。あたしにこんな格好をさせて……」
「その格好、素敵よ」とアンナはアレックスに寄り添った。彼女の腰に手を当て、ふたりの体を密着させ、そして、アレックスを見上げた。「それが一番、大切なことじゃない?」
「お家に帰りたいって言ったの」 アレックスは体を離し、同じことを繰り返した。そして、コンクリートの階段に、ライラック色のドレスの裾を気にしながら、優雅に腰を降ろした。公園にいる他の人にスカートの中を見せてしまいたくなかった。彼女は両手で顔を覆った。「これって、いい考えじゃないわ」
アンナは愛するアレックスの横に腰を降ろした。「これはあなたが求めたことよ。あの時期、ずっと、これがあなたの夢だったんじゃない?」
アレックスは困った顔をして、頭を左右に振った。「この状態を受け入れるのって大変なのよ」と彼女は認めた。「こんなふうに外に出るのは、これが初めて。分かるでしょ、真昼間は初めてなの。本当の……本当の女のように、は。すごく怖いのよ、アンナ。ビクビクしてるの。誰かに見られたら、どうなるの? 職場の人に見つかったら、どうなるの?」
「あなただって分かる人は誰もいないわよ。そのウイッグを被ってたら大丈夫。その偽おっぱいをつけてるから大丈夫。安全よ」
「でも、もし……」
「もし、何なんなの?」アンナはニヤニヤ笑った。「その疑問って、本当は、あなたが自分自身に訊くべき疑問じゃないの?」
「ど、どういうこと? 何を言ってるの?」 アレックスはアンナがニヤニヤ笑ってるのを見た。
「あなたにプレゼントがあるわ。あなたにその気にさせるためのプレゼント」
アンナはそう言ってバッグに手を入れ、小さな箱を出した。それをアレックスに渡し、「開けてみて」と言った。
アレックスは何かよくないことの気がして躊躇った。でも、アンナは決してNOの返事を受け付けないことも知っていた。今日、彼女がこのように外出しようと言ってきた時、反対しても彼女は受け付けなかったわけで、この贈り物を拒否しても受け付けられないだろう。アレックスはあきらめのため息をつき、箱を開けた。中には何か芯のようなものに大きなプラスチックの宝石がついたようなものが入っていた。
アンナは再びニヤニヤして「中に入れてみて」と言った。アレックスがどこにと訊くと、「どこに入れるか、分かってるでしょ」と言った。
「ま、まさか……」その道具を手に取り、ようやく意味が分かったアレックスは息を飲んだ。「あ、ああ……アンナ!」 アレックスは素早く、そのアナルプラグ(
参考)を箱に仕舞い、辺りを見回した。「気でも狂ったの?」
アンナは肩をすくめた。「それセクシーじゃないかって思って。それに、あたし、あなたのお友達に、あたしたちが撮った写真を見られたらって思うと、すごくイヤなのよ。あの、逞しいマッチョのアレックスがいろんな可愛い服を着てる写真。それに、先週撮ったビデオとか。あなたって、声を出すタイプだったって、あの時、初めて知ったわ。すごい叫び声をあげてヨガリ狂っていたもの。あなたのお友達が、あなたがあたしのストラップオンをあんなに気に入ってると知ったら何と言うだろうって思ったわ」
「まさか、あれを……」
アンナは再び肩をすくめた。「成り行き次第では、そうするかも」と彼女は言った。「ちょっと、あたしの話しを聞いて。あたしは元々、あなたの『女の子』関係のことには関係なかったのよ。でも、あなたが秘密のフェチを持ってると知った後、あたしはそれに合わせたの。それで今はどうなったか? 今は、あたしは、可愛いガールフレンドができたと思っているわ。だから、あたしがあなたの知り合いに今のあなたの本当の姿を教えてしまわないように、ソレをアソコに入れて楽しむの。可愛い女の子はそうするものなのよ。恋人が喜ぶように素敵な表情を見せてあげるものなの」
アレックスは躊躇っていることなどできなかった。両脚を広げた。アンナが強く求めるものだから、下着は履いていなかった。左を見て、右を見て、辺りに誰もいない状態になるのを待った。そして、一度、深呼吸をした後、彼女はアナルプラグを押し込んだ。
挿入後、アレックスが両脚を閉じるのを受けて、アンナは彼女の太ももを優しく叩いた。「ほーら、そんなに難しくなかったでしょ?」
「あたし、今、ものすごくアンナのことを憎んでいるよ」と体を離した。「もうお家に帰れるよね?」
「お家? あなたがこんなに素敵にドレスアップしているのに? ダメダメダメ。これからダンスに行きましょう。あっ、でも、拒否する前に思い出してね。あたしの言うことを聞くこと。そうすれば秘密は守られる。言うことを聞かなかったら、みんなに、あなたがどんな人なのかバレてしまうということ。いい? それに、言わせてもらえれば、この状況って、あなたが求めていたことじゃない? あなたがネットで読んだいろんなストーリーとか、観てきたいろんな動画とか。これがあなたがの夢だったんじゃない? だから、聞き分け良くして、夢に思っていた生き方をしてみたらいいと思うけど?」