67_Reconditioned 「再調教」
「壁に両手をついて、位置につきなさい」 ララは両腕を組みながら命令した。
ハロルドはためらうことなく命令に従った。壁を向き、両手を壁につく。背中を反らせ、恥ずかしい部分を元妻のララと彼女の友人に見せた。
「完全に重々じゃない?」 とその女性が言った。
ララは頷いた。「間違いなく。彼が再調教から戻ってきた時は、正直、あたしも驚いたわ」
女性はクスクス笑った。「島の住民たちも、大半は同じ。自分で言うのもなんだけど、あのプログラムの効果が完璧で嬉しいわ」
「異論の余地がないわね」とララは答えた。「結果は歴然としてるもの」
ハロルドは、ふたりが彼の再調教の結果について話すのを黙って聞いていた。再調教……彼が島の規則に従うのを拒否した結果、受けさせられた処置。精神的にも肉体的にも拷問といえるものだった。そして、3ヶ月も抵抗し続けた後、彼はとうとう屈服した。さらにその後2ヶ月にわたりトレーニングを受け、ようやく解放された。彼は、6ヶ月にも満たない期間で、男性から、明らかに女性的な存在へと変身させられたのだった。
「今夜、彼を家に連れ帰るつもり?」 と女性が聞いた。
ララは頷いた。「ええ。ハリソンさん? 本当のことを言っちゃうと、あたし、島に招待された時、ちょっと、躊躇したの。規則があまりに普通じゃなくって。それに島に着いたら、シシーたちがいっぱいいて、みんなニコニコ笑顔で、裸同然の格好で歩き回っていた。それを見た瞬間、すぐに帰ろうと思ったくらい。でも、今なら恥ずかしがらずに言えるわ。あの時のあたしは、この場所について完全に間違っていたと。ここは本当に素晴らしい場所」
ハリソンは笑った。「それって、そんな珍しい反応じゃないわよ。ここに来る女性は、外の、男性支配の世界しか知らないんだから。ここの様子を見たり、物事が行われる様子を見たら、それは大変なショックのはず。でも、ここの住民になった人で、離れていった人はひとりもいないの。誰も元の世界に戻ろうとしない。なぜなら、ここはあらゆる意味でユートピアだから」
ララは夫の女性化した体を見つめた。「確かに、そうだと思う。それに今ならはっきり言えるわ。あたしもここを出たいと思う理由がない、と」
ハロルドはそれを聞いて気が消沈した。再調教を受けていた何ヶ月か、彼は、今や支配的な女王様に変身してしまった元妻が、自分の奴隷同然の状態を見て驚愕するだろうと、その点に一縷の望みをかけてきた。このような姿になってしまった自分を見て、一刻も早くこの島から逃げ出そうと思うのではないか。そう期待していたのだった。しかし、いま彼女の声を聴いて、そこに純粋に淫らな調子が籠っているのを感知し、そんな期待をしていた自分がバカだったと知ったのだった。決してここから出ることはできないだろう。もう二度と、本物の男性には戻れないだろうと。