67_Survival 「サバイバル」
「チャールズ、何で泣きそうな顔してる? お前が連中にいつも言ってたことは何だった? 新しい人生をやり直せるってか? ちゃんと自分たちを愛して大事にしてくれる新しい所有者が出てくるってか? もちろん、そんなことはクソな。お前のような……女?にどんなことが起きるか、お前はちゃんと知ってるだろ?
「死ね、エリック! いつか、ボクはここから抜け出る。そして、その後、お前に仕返しに来る!」
「あのなあ、かわいこちゃん。セールの直前でなければ、直ちにお前をぶん殴ってるところだぜ? お前も分かってるんだろ? 俺が取引を台無しにするわけがないと」
「いつか、お前を殺すつもりでいることは分かってる」
「無意味な脅かしだなあ。自分でも分かってるくせに。明日の今頃には、お前は東欧のどっかの売春宿にいて、ウオツカの匂いがするロシア人にズブズブやられてるだろうな。お前も、俺と同じく、例の訓練については知ってるわけだろ? お前も長い間、こっち側にいたわけで、正確に、今後どうなるかを知ってるはずだ。お前、何人、女を売った? 何人、脱走者を女に変えてきた? 何人……」
「やめろ! くそったれ!」
「俺個人としては、気持ちの半分、これを中止してもいい気持ちでいるんだぜ。お前の場合、もっとトレーニングが必要なのは明らかだ。キンタマをつぶすとか。指を1、2本切り取るとか。お前のその可愛い顔に傷をつけるのは俺としても嫌なんだが、ちょっと傷跡があっても、お前の価値はあまり下落しないだろう。ああ、だが、そんなお前も、生まれて初めて、連中にみっちり可愛がってもらったら落ち着くんじゃねえかな。お前たちはみんなそうだ。来る日も来る日もセックス。それが続くとお前は狂ってくる。しばらく経てば、お前は、俺を指導した最高のトレーナーだったことすら忘れてしまうだろう。むしろ、思い出したくもないと思うようになる」
「やめてくれ……」
「脅かしが通じないので、今度は懇願に飛びついたか? えぇ? まるで可愛い子犬みたいだな? まあ、どう足掻いても、これが起こることは変わらねえ。お前もよく分かってるよな? 俺としても、ちゃんと報酬が来ると分かっていなければ、お前のそのカラダを得るために、あんだけの時間と労力をつぎ込むことはしなかっただろう。まあ、その過程自体は楽しかったものの、復讐心ってやつはいつも燃え盛ってるわけじゃないのだよ。復讐心以外の燃料も必要だってことだ」
エリック、何でもするから。だから……ボクを売ることだけは……
「選択肢はないな。お前は今は奴隷の身だ。そして奴隷は売られる宿命にある。だが、それは、そんなに悪いことじゃねえぜ。サーゲルがお前を王女様のように扱うかもしれないだろ? お前はあいつが家の中で楽しむ奴隷のひとりになるだろう。だが、それって、悪いことじゃねえぜ? あいつの売春宿に行くよりずっといい。売春宿より酷いところに送られるかもな。そういうことになった奴らを俺は見たぜ。女もお前みたいな男も、素っ裸で動物みたいに暮らしてた。個人的には、そんなことして何が楽しいか分からなかったが、好みの問題だ。俺には関係ない。あの種のことにムラムラする奴らはいるからな」
た、頼むから……
「イヤだめだ。運命と思ってあきらめろ。お前はいろいろ見てきて、こうなるというのは分かっていたはずだ。だから、やり直しはありえない。受け入れる他ない。さて、話はこれ以上いらねえな。俺は温和だが、サーゲルは違うぞ。無駄口を言わずに、いい娘でいることだな。そうすれば、生き残ることができるかもしれない。多分な……」