68_Aftermath 「その後」
「それで?」と、デクスターはパティオの椅子にゆったりと座り、ビールを啜りながら、彼らの創造物をまじまじと見つめた。そして、子供時代からの親友に顔を向けた。「もう終了だな。こいつは完了だよ。それで? これから彼をどうする?」
スティーブンはサングラスを前に突き出し、プールに裸で戯れるこの人物をよく見ようと、サングラスの上から視線を向けた。ひと月前と比べても、驚くほど変化している。その変化の多くが広範囲にわたる整形手術のおかげだった。デクスターの質問は的を射た質問だった。だが、過去にスティーブンとデクスターが共に彼にイジメられたことに対し、復讐しようと計画に着手した時には、スティーブンは、このような質問が出てくるとははとんど考えていなかった。
「分からないなあ。僕は、これをちゃんとできるかどうかばかり考えていたので、うまくいったらどうなるかなんて考えることもなかったよ」とスティーブンは言った。
「僕もだ」とデクスターは同意した。「本当に実現できたなんて、いまだに僕は驚いているんだ」
「ああ」とスティーブンは言い、肩をすくめた。「なんなら、こいつを皆に見せびらかしてもいいんじゃないか?」
「みんなって誰に? 彼を友達だなんて思うほど、彼と仲良かった人なんて、誰もいないと思うけど?」 とデクスターが言った。「それに、彼は別れた奥さんや子供にも話していないし」
「そうじゃなくって……」とスティーブンは答えた。「高校時代の僕や君のような人たち。僕たちみたいに、こいつにイジメられてた人たち。その人たちに今の彼を見せてあげてもいいんじゃないかな? その人たちも気持ちが晴れ晴れするんじゃないか? ざまあみろって」
デクスターがスティーブンの方を向いた。「でも、僕たちがこれをやったということは誰にも言えないのは知ってるよね? 彼は自分の意思でこうなったんだって、世の中ではそう信じてもらわないと。もし誰かにバレたら……」
「僕たちがあることをしたってことを? 僕たちが彼を洗脳したってことを? それって、そもそも、違法なのか? 裁判になったとして、それを証明できる人なんているのか? そんな人がいるなんて想像できる?」
「分からない。ちょっと、想定外のことのように聞こえるのは確かだけど」とデクスターが言った。
「裁判長は、こんなの申し立てられても、即座に棄却するさ」とスティーブンはにやりとしながら答えた。「つか、強制女体化? そんなの皆の常識を超えてるだろ?」
デクスターはすぐには返事をしなかった。その代わり、彼らが作り上げた豊満な肉体を誇る金髪のシーメールをまじまじと見つめていた。そして、ようやく彼は口を開いた。「パーティを開こう」
「何だって?」とスティーブンが訊いた。
「パーティだよ。ここで開いてもいい。彼がイジメた人全員が一か所に集まって、彼の今の姿を見るんだ。そして、みんなが満足したら、彼を働かせる。この世の中、シーメールのポルノ・スターなら、いつでも新人が出てくるのを待ってると思うし」
「その考え、いいねえ。早速、明日、手配をしてみるよ」とスティーブンは言った。