68_Changing the deal 「取引の変更」
「ちょっと!」と、ジェシーは義理の兄のハンクの顔を見た。「それって取引に入ってないわよ。あんた、何も言ってなかったじゃない!」
「取引が変わったんだよ」とハンクは邪悪な笑みを浮かべた。「なんなら、代わりの取引でもいいぜ。地元にいるお前の友だちみんな、お前がこの夏じゅう何をしていたかを、大喜びで見ると思うぜ。あいつら、どんな反応するかな? お前、分かるか?」
「ま、まさか……。誰にも言わないって言ったじゃないの。約束したじゃないのよ!」
ハンクは肩をすくめた。「別に、パンティを履いて自慢げに歩き回ったのは俺じゃねえよ。お前だろ? 忘れたのか? あれはお前自身が選んだことだよ。その後に起きたことは全部、お前自身が引き起こしたことだろ?」
「説明したじゃないの! あたしは、声の代役になるコンペに出るために、その練習をしていただけ。あのキャラクターに馴染む必要があったのよ!」とジェシーは反論した。それは事実だったが、事実はそれだけではない。ジェシーは、自ら進んで、女性歌手の真似をする仕事を選んだのだ。女物の服を着て人前に出ても、社会的に許される。ジェシーはそれの可能性を思い、興奮して、とても無視できなかったからである。
「それ、お前の友達たちにも言えるんだよな? あいつら、理解してくれると思うぜ。だけど、それでも、だからと言って、お前がこの夏の間ずっと俺の彼女として振る舞ってきた理由の説明にはならねえよ。そうだろ? それに、お前、すごく上手に女になり切ってきただろ? どうして、そんなにうまく女になり切れてるんだ? それも説明できないのは確かだぜ?」
「あ、あんたが仕向けたんでしょ! あたしがあんたの彼女になるって同意しなかったら、皆にバラすって脅かしたからじゃない!」
「もう一回言うけど、それもお前が自分で選んだことだぜ? さて、今、お前自身で選ばなくちゃいけない選択肢が、もうひとつ、お前の目の前に出てきてるわけだ。俺の言うとおりにして、実際に俺の彼女になるか? そうしたら、俺はこの夏の出来事は思い出にしておこう。だが、もし、それを拒否すると言うなら……まあ、その場合は、どうするかなあ? 上手くいけば、お前の評判は今までと変わらないままになれるかもしれない。分からんけどな。最近は、若い連中はこういうことを受け入れるようになってるからな」
「ひどい……」とジェシーは、両手を肩までの長さのブロンド髪に走らせた。「そんなの選択肢だなんて言えないじゃないの。分かってるくせに」
「いや、選択肢には変わりがないだろ? さあ、どっちを選ぶ?」
少し沈黙し続けた後、ジェシーは溜息をついた。「いいわよ。でも、これが最後だからね。この後は一切ダメだから」
「まあ、お前がそう言うなら……」とハンクは同意した。
ジェシーはカウチに座り、ヨガ・パンツの腰バンドに両手の指を入れ、太ももの途中まで引き下ろした。そして、仰向けになり、両脚を持ち上げ、股間を完全に露出させた。
「優しくしてよ」 とジェシーは懇願した。
ハンクはニヤリと笑いながらズボンのチャックを降ろした。「約束はできねえけどな」