68_Coming due 「もうすぐ」
「あなた、あたしを解放するつもりがないんでしょ?」
「解放する? 君は囚人じゃないんだよ、ジェシー。ここを離れたかったら、いつでも離れて構わないんだよ?」
「あたしが払いきれない対価と引き換えに、でしょ?」
「ハムレットじゃないが、それが問題だね。借金を払えば、自由になれる。それができるまでは、キミは、私がキミにできると思うことを何でも、それをして、私のために働く。キミも同意したことじゃないか」
「同意なんかしてないわ。こんなこと、決して望んでなかった」
「お願いだよ。キミは自分で決断したんだ。実際、一度だけじゃなかったよ。そして、キミは自ら進んでどんどん深みにハマってきた。判断すべき時に、悪い判断ばかり選んでね。何かを選択したら、必ず結果が伴うものだよ、ジェシー。借金は払わなくちゃいけない」
「あなたのせいであたしは奇人になってしまった」
「私のおかげで君は利益になったのだよ。利益が出れば、キミは借金を払える。私に感謝すべきじゃないのかねえ? 私はキミにスキルを与えた。今のキミのカラダそのものが大変なスキルだろ? 今は、チカラもつけてきてるんじゃないのか?」
「娼婦としてのチカラをね」
「売春が最古の職業と言われるのにも理由があるのだよ。男はいつもムラムラしていて、一発ヤッテ気持ちよくなりたくなるキミのようなセクシーな女の子を求めてるものなんだ。キミはみんなに求められているんだよ」
「死ね、バカ!」
「いや、今日はまだ死なないよ。でも、近いうちに。そう近いうちに、キミも服を着て、街角に立てるようになるさ。それまでは裸のままで我慢。まあ、街に立てるようになっても借金が減るわけじゃないけどね」