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A long summer 「長い夏」 

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69_A long summer 「長い夏」

「デビッド、マジで聞くけど。これ、本気?」

「尻込みしようって気なのか? 俺には他の人を見つけられるから、別に……」

「いや! 違うの。ボクはおカネがいるから。ただ、ちょっと、これって何かゲイっぽいなあって」

「ゲイ? こいつはビジネスでの取引だぜ? それ以上の何でもない。性的指向性なんてことは関係ないんだ」

「わ、分かってるよ。ただ、ちょっと……ちょっと、キミはボクと一緒になりたがってるのかなって。何と言うか……」

「お前は俺の彼女のふりをしてるんだぜ? それに、俺たちがセックスしてないってなったら、いずれみんなにバレてしまうもんなんだ。そういうときの人の力を見くびるのはやめたほうがいいぜ。いずれバレちまうもんなんだ。本当だぜ? こんなの、俺も楽しいってことじゃないんだよ。でも、やるべきことはやらなくちゃいけないんだ」

「まさにそこだよ。女の子なら、キミが誰かに声をかけりゃ、すぐにゲットできたと思うんだよ? そういう女の子たちっていっぱいいたように思うけど?」

「なんだよ、まるで俺に彼女を見つけろって言ってるみたいだな。いいか? 俺は、女の子と会っても会話すらできず、全然、彼女なんかできなかったんだ。お前は俺の親友だよな? しかも、俺はお前にちょっと金儲けができる機会を与えてる。なのに、俺に文句を言うわけか?」

「いや、そういうことじゃないんだよ。ボクはただ……ただ、これが居心地が悪いって言ってるだけなんだよ。このウィッグなんか、超ウザいんだ。それに、この脚。こんなつるつるの脚に慣れるなんてできるかどうかもわからない」

「でも、そもそも、お前は毛深いほうじゃなかっただろ? ほら大丈夫だって。俺たちならなんとかできるって。この夏だけやり過ごせばいいんだぜ? 俺と一緒に兄貴の夏の別荘に行く。何回かパーティにも出る。そして皆にお前は俺の可愛いガールフレンドだと納得してもらう。お前は約束のカネをもらえるし、俺は父親の庇護のもとに戻れると。みんなが得をするんだ」

「でも、そんなの本当にうまくいくの? 何と言うか、キミの実家にキミだけで行って何が問題なの?」

「言ったはずだぜ? 俺の父親は俺にちょっと文句があるんだよ。親父は俺を負け犬だと思ってる。ずっと学生寮の部屋に閉じこもってると。俺がすることといえば、部屋の中でずっとゲームをやってると、そう思ってるんだ。でも、俺がガールフレンドを連れて現れたら、親父も俺への評価を変えることになるだろ? それは、とりもなおさず、俺への仕送りが続くってこと。今の車も手放さずに済む。それに大学の学費も今まで通りに払ってくれることになる。単純な話だぜ、ベイビー」

「その呼び方はしないで。それイヤだって言ったはずだよ」

「でも、俺のガールフレンドだったら、違うだろ? ベイビーと呼ばれて喜ぶはずだぜ? 俺とセックスするのが好きなのと同じように。そして、お前は俺のガールフレンドだ。少なくとも夏の間は。そうだろ?」

「ま、まあ、そうだけど……。でも、ちょっとゲイっぽく感じるんだよ」

「お前は今は女なんだよ。当然、女なんだからゲイじゃない。女になり切るんだよ。いいね? 肩の力を抜いて。ひょっとすると、女でいる方が好きになるかもしれないじゃないか」


[2018/10/28] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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