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Dream 夢 (2:終) 

ある日、私はランニング用のショーツを履いて、ジョギングに出た。彼女の姿はなかった。実際、みっともない初心者のように見えると思い、彼女には見られたくないと思っていた。運がよければ、彼女がジョギングに出てくる前に、終えることができるだろう。

走り始めて、60メートルも走ってなかったと思う。私の横を彼女が抜いていった。ひゅっと風の音を立てて走り行く彼女の姿。本当にスポーツ・ウーマンだと思った。私は自分がバカに感じた。彼女のような人は私のような人間とは係わりたくないと思うものなんだろうと思った。

その時、彼女が振り向き、私のことを見た。そして、止まり、先に進まず、その場でジョギングをした後、私の方へ走って戻ってきた。

「ハイ!」 

そう言って私の横に並んだ。

「こんにちは」

「一緒に走ってもいい? 一人だとすごく退屈で」

「ええ」

彼女はジョギングをしながら、とても楽に話すことができた。私の方は息が切れそうになっていた。彼女は構わず話し続けた。最初は天気のこと、それから近所のことについて。とても人懐っこく、まるで私と一緒に走れてとても嬉しいと感じているような、そんな気持ちに私をしてくれた。

でも、とうとう、私は疲れてしまい、しばらく歩かなければならなくなった。それでも彼女は気にしなかった。私の呼吸が元に戻るまで、一緒に歩いてくれた。その時も、ずっとしゃべりっぱなし。ブロックを2回、周った後、私は走れなくなってしまったが、彼女は平然としていた。なのに、彼女は走る動きを続けながら私の家まで一緒に付き添ってくれた。

別れ際、彼女は親しげに私に言った。

「一緒に走ってくれて、ありがとう。またいつか、一緒に走ってね。・・・あ、もし、また走ることがあるなら、ってことだけど」

彼女の言葉が信じられなかった。あんなにすらりとして、スポーツが得意そうな彼女。その彼女のことを賞賛していた私なのに、その私に、一緒に走れるかと頼んできたのだ! まったく予期していなかった言葉だった。

その夜、私はベッドに横たわり、まどろんでいた時だった。ハッと驚いて眼が覚めた。彼女のイメージが浮かんだのである。振り返って、私のところに走って戻ってくる彼女。とても嬉しそうな顔をして。

私は天井を見つめながら、しばらく横たわっていた。眼を閉じると、また彼女のイメージが浮かぶ。どうして私はこんなに興奮しているんだろう?

おわり

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