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Crazy Talk 「狂った会話」 

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69 Crazy Talk 「狂った会話」

「あの……お嬢さん? あなたは違うロッカールームに来てしまったのじゃないかと思うんですが……その……」

「もう! そのジョーク! ずっと前から続いてるわ、マーク。もう本当に。ええ、確かに、最初は面白かったわ。でも、いまだに言うわけ? 古臭い!」

「いや、僕は……僕が言いたいのは……」

「ふーん、まだ続けるわけね? あなたが演技してると知らなかったら、何かがおかしいとあなたが本気で思ってると納得してしまいそう。でも、あなたはいっつも忘れてしまってるの。自分の姿くらい、毎日、鏡で見てるわよ。確かに可愛い娘には見えないのは分かってるわ。だから、何で、あなたはそんなジョーク言って笑えると思ってるのか、さっぱり分からないの」

「で、でも、あなたの姿は本当に……その、胸も……」

「まだ言うの? ええ、胸は最近ちょっと膨らんできてるわ。かなり肉がたるんできてる。多分、最近、仕事で頑張りすぎて、ジムにそんなにこれなかったせいかも。そういうこと考えたことある? あたしには仕事があるの。それなりの責任があるの。そして、あたしは、何が大切かしっかり認識し続ける必要があるの」

「もう何と言ってよいか分からない」

「あなたでも、頭の中を整理すれば、理解できるんじゃない? あたしのようにちゃんとした職業に就くことね」

「ちゃんとした職業……」

「あら? あたしの仕事までバカにしようとするの? ちゃんとしたまともな仕事よ、マーク。あなたまた演技してるのね?あたしがストリップ・クラブで働いてるからって、何かあたしが間違ったことをしてるように演技してる。まあ、いいわ。教えてあげる。あたしはダンスが好きなの。それにペイもかなりいいのよ。はっきり教えてあげると、前にあたしがしていた中間管理職より、ずっと多くもらってるの。ええ、確かに、この仕事をするのに必要なコトがあって、それにはちょっと慣れる必要があるわね。でも、あたしはもう慣れた。お化粧をしたり、体毛の手入れをしたり。何もかも。もう今は、ほとんど意識せずにそういう作業はできるようになったわ」

「でも、あなたはどう見ても女性に見えるんですよ。あなたの乳房は僕の彼女のよりずっと大きい。それにあなたはストリッパーをしている。何と言うか、どうしてあなたには、この会話がすごく狂っていることが見えていないのかが、僕には理解できないんです。まるで、僕が変な薬を飲んでしまったような気持ちだ。いいですか、あなた自身の言葉をちゃんと聞いてくださいよ。自分の言ってることをちゃんと考えてくださいよ」

「あなた、薬物やってるの? 真面目に訊いてるのよ。だとしたら、なるほどと……」

「そんなのやってませんよ。あなたこそ、やってるんじゃないんですか? あなたは、さっきからクレイジーなことしか言っていない!」

「お願い、もうやめて。あなたのことを信じてやらなきゃいけないとは思うけどね。あなたも他の男たちも、みんな、このジョークにこだわるのよねえ。そのこだわり、本当に印象的と言えるわ。でもねえ、これは言わせて。あたしは、その話、もううんざりなの。だから、あなたがちゃんと理屈の通ったことを言いたくなるまで、あたし、あなたのことは知らないフリをすることにするわ。そうすれば、あなたたちも、そのジョークはもう古すぎてるって事実に目が覚めると思うから」

「でも……」

「ダメ。もう話しを聞かない。まともなことを言い始めるまでは、聞かない。あたしはエクササイズをしに行く。その後、仕事に行く。なんなら、お店に寄ってって。無料で個人ダンスをして見せてあげてもいいわよ」


[2018/11/01] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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