69 Fantasy Football 「ファンタシー・フットボール」
「本気でボクにこんなことさせるつもりなの?」
「忘れてないと思うけど、これ、あなたが考えたことなのよ」
「でも、ボクはキミに着てほしかったんだよ。ボクじゃなくて」
「だったら、負けなきゃよかったじゃないの。マジで言うけど、どこの世界に、ファンタシー・フットボール(
参考)で彼女に負ける男がいるって言うのよ? でも、その衣装を着たあなたを見てると、なんだか……そもそも、あなたが男と思えるかも難しい気がしてきてるわ」
「そんなのフェアじゃないよ! ボクにこのウイッグを被せたり、カラダの毛を剃らせたのは、キミじゃないか!」
「それに、その子宝に恵まれそうな腰も? それも、あたしのせいだと言いたいの? 賭けてもいいけど、もし、胸に何かそれなりのものがついていたら、あなた、ビキニ・モデルの素材になると思うわよ」
「そんなこと考えないでくれ。このシーズンが終われば、こういうのは全部、終わりにするんだから。気ちがいじみた賭けは、もうやめるんだから」
「あら、あたしは、もういろんなアイデアを考えてるんだけど。ほんとに、いろんなこと」
「ど、どんなアイデア?」
「そうねえ、あなたはチアリーダーとしての経験を積むことになるとだけ、言っておくわ。そして、あたしの方は、大きくて強いクォーターバックの先発選手になるの」
「遊びはやめて。こんなことしても、ボクたちの関係に何の影響も……」
「別に遊んじゃいないわ。すでに、ストラップオンを注文してあるもの。チアリーダーになったあなたを、ベッドに前かがみにさせて、後ろから……その時が楽しみで仕方ない感じ……」
「やめて!」
「そいうふうに怒ると、とてもキュートなのよねぇ、あなたって。いいこと教えてあげる。あなたに選ばせるわ」
「選ぶって、何を?」
「あのね? あなたのお友達みんなに、その衣装を着たあなたを見せるの。ちなみに、それも確定しているわ。このシーズンが終わるまで、毎週日曜日、あなたのお友だちをみんなウチに呼ぶの。そして試合を見ると。あなたはみんなの前で、その格好で歩いて、飲み物を出してあげることになってるわ。お友達の中にはちょっとお触りする人も出てくるんじゃない? そう考えるのって、無理に想像力を逞しくしなくてもできるわよね。でも、あなたが本物の女じゃないことを忘れたら、そんなことをしても誰も咎められないわ。そうじゃない? それに、そういうことが起きたら、次々に連鎖反応していくかもと思ってるわ。あたしが割り込んで、『この子、男なのよ』って言わなければ、絶対そうなると思うの。もちろん、あたしなら逆の方向にもっていくこともできるわよ。あなたのお友だちをどんどん励ましちゃうの。エッチな気分に男たちくらい操作しやすい人はいないもの。ましてや、そばにミニスカートを履いた可愛い女の子がうろちょろしてる状況なら、なおさら」
「ま、まさか、そんな……」
「でも、もし、あなたがあたしのちょっとした妄想に付き合ってくれるなら、そんなことをする必要もないなって思ってるわ。だけど、それがイヤなら……まあ、最近、口にものを入れた時、おえってなるの、直った?」
「ああ。分かったよ。キミが望むことを何でもするよ。だから、それだけは……いや、何でもするよ」
「素敵! やっぱり、あなたなら、あたしと同じように考えてくれると知ってたわ」