母とシンディはアパートの奥へ引っ込んだ。僕はジョイスのところに近づいた。
「ジョイス、僕はまだ姉さんのことを愛しているよ。さっき言ったことは、本気だ。・・・それに、僕が買い取った前の家に戻ってきてもいいよ。前に姉さんが使っていた部屋を使うといい。姉さんの子供たちは、お父さんたちの部屋だった部屋を子供部屋に変えればいいと思う」
ジョイスは僕に抱きつき、泣き出した。僕はにやりと笑いながら父に目をやった。父は、がっくりとうなだれて座っていた。
「お父さん。お父さんにも良いことを提案してあげようと思う。もし、お父さんがお母さんと離婚し、僕がジョイスに求めたのと同じ約束をしてくれるなら、お父さんも、僕が始める仕事を手伝ってくれてもいいし、あるいは、引退して、家の中の雑用をしてくれてもいいだろう。その場合は、僕がお父さんの生活をまかなうよ。あの2人も含めてね。ただし、その場合も、僕は、あの2人に関しては、娼婦として扱う。あの2人には、自分たちの生活は、僕が機嫌良くしているかどうかに掛かっているというのをはっきり理解させるつもりだ。実際、以前も、本当のところは、あの2人の生活は僕の肩に掛かっていたんだが、誰も、そう思ってはいなかったようだし、あまりバカすぎて、それに気づかなかったようだけどね」
父は何も言わなかったが、しばらくたち、小声でつぶやいた。
「本当にあの2人も家に入れてもよいと思っているのだろうか?」
僕は微笑みながら言った。
「あの2人が目を覚まして、きちんと過ちの代償を払ったと僕が認めた場合に限るけどね」
それを聞き、父は顔を上げ、笑顔になった。
「分かった、早速、今夜から始めよう」
父はそう言って立ち上がり、奥の寝室へ歩いていった。奥から、父が、母とシンディを怒鳴りつけ、娼婦呼ばわりしている声が聞こえた。ジョイスが僕に小さな声で囁いた。
「私も何かするわ。今度の水曜日に、私の離婚が確定するの。その後は、キース? 私、あなたの条件に完全に従うと約束するわ」
そう言って僕を抱きしめ、キスをした。
「・・・あの2人にお金をやる気分でないときは、いつでも、私があなたの娼婦役になるから」
そう言った後、ジョイスは高らかに笑い始めた。父が古いぼろぼろのスーツケースを持って出てきたときも、彼女は笑い続けていた。