今や彼女は男の言うがままになっていた。もし、男が一晩中やろうと言ったなら、喜んで同意していただろう。
「ええ、そうして。ゆっくりやって」と彼女は囁いた。彼女は、一瞬だけ夫のことを思ったが、意識して、彼のことを忘れることにした。
男はにやりと笑った。
「じゃあ、ちゃんとやることにしようぜ」
そう言って男は体を起こし、いったんペニスを引き抜き、彼女の頭の下から枕を取った。「奥さんが俺を受け入れられるのが分かったからな、今度はじっくり楽しもうな」
彼女は素早く腰を浮かせ、男はその下に枕を置いた。そして再び挿入する。今度は一気に根元まで突き刺した。
それから5分が過ぎ、そして10分が経過した。その間ずっと、休むことなく男は抜き差しを続けていた。単純にピストン運動をつづけたかと思うと、時々、角度を変えてストロークを送り込む。
彼女の方も、今や両脚を高々と上げ、男の腰に絡め、その胴体に両腕・両脚を使ってしがみついていた。ふたりの体からは汗がほとばしり、シーツを濡らしていた。
やがて彼女はオーガズムに近づいてきた。もともと、セックスの時に声を出すタイプの彼女だったが、今は、前よりもさらに大きな声を出していた。すでに夫のことは頭から消えており、彼女の声は、囁き声といったレベルをはるかに超えている。
「ああ、すごく大きいわ。もっとヤッテ。その大きくて黒いので突いて。ヤッテ、ヤッテ! ああ、イキそう。ああっ、ああっ、いく、いく、いくぅぅぅぅ……! 信じられない!」
そんな彼女の反応に、男は声に出して笑った。彼女は、絶頂に達すると、全身を強張らせ、片手は男の背中に、もう片手は尻頬に当て、指を肌に食い込ませた。爪が肌に食い込み、血が出てるかもしれないと思ったが、男は気にしなかった。
……こんなに大きな声を上げて。今さっき、キッチンにいる旦那も、自分の妻がイク声を聞いたんじゃねえのか。……哀れなヤツだぜ。さぞかし、向こうで歯ぎしりしてるだろうな。
男は彼女の呼吸が落ち着くのを待って、再びストロークを開始した。
「さてと。……もう1発、奥さんのマンコに撃ち込んでやろうな」 その声はキッチンにいる夫にも聞こえるほどの大きさだった。「それが終わったら、ここから出て行ってやる。奥さんも、もう一回、イケそうなら、俺と奥さんとで、どっちが早くイケるか競争しようじゃねえか」
率直に言って、それは競争と言えるものではない。というのも、彼女は、事実上、連続オーガズムになっていて、イキっぱなしと言ってよかったからである。ともあれ、男は、射精に向けて本格的な抽迭運動に入った。激しい抜き差しで、男の睾丸が彼女の尻頬を叩く、規則的な音が部屋中に響き渡った。ピストン運動の速さばかりでない。30センチはあるペニスの先端から根元までを使ってのストロークでもあった。上下に動く男の尻の振動幅からもそれが分かる。
男は無駄な動きはしなかった。彼女のことなどまったく気にせず、ただひたすら、自分自身の快楽を求めるためだけの動きを続けた。彼女のことを、自分に快楽をもたらす単なる肉穴道具としか思っていない動きだった。だがむしろ、そんな男の動きこそ、彼女が求めていた動きだった。彼女は、再び、意識的に夫のことを頭の中から追い払い、感じたままに、大きな声で、長々とうめき、喘ぎ、そして叫び続けた。彼女がオーガズム競争で男に勝ったことは言うまでもない。そればかりか、やや遅れて男が唸り声をあげ、最後の1発を彼女の子宮に噴射した時にも、彼女は、再び絶頂に達し、粘着液を盛大に分泌したのだった。
射精後、1分ほど体を重ねていた後、男は体を起こそうとした。それを察知し、彼女は顔を曇らせた。男の体にしがみつき、起き上がろうとするのを止める動きをした。男は驚いて、「もっとやりたいのか?」と訊いた。
「いいえ」と彼女は弱々しく答えた。「でも……もう1度だけ、あたしにキスしてくれる?」 夫に聞こえないよう、囁き声で言った。セックスの間、ふたりは事実上、ほとんどキスをしていなかった。彼女はこの男とキスしたいと思ったのだった。
「ああ、いいよ」 と男は苦笑いし、顔を近づけた。そのキスは、かなり長い、心のこもったキスで、ふたりが唇を重ねてすぐに、ふたりの舌は互いに絡み合っていた。あたかも、まだセックスまではしていない恋人同士のように、ふたりは互いの舌を切なそうにむさぼりあった。
別の状況なら、このキスはロマンティックな、非常にロマンティックなキスと形容できただろう。男が唇を離した後も、何秒か、彼女は男の体にしがみついたままでいたが、ようやく、諦めて、男を離したのだった。
「ありがとう」 彼女はそれだけを言い、はにかんだ笑みを見せた。
男がベッドから降りた。今だ半立ち状態のペニスで、若干、下方を向いていたが、歩き回るのに合わせて右へ左へと揺れ続けた。彼女は仰向けのまま横たわっていた。素っ裸であり、脚を広げたままのため、最も大切な部分が露わになっていたが、今はまったく恥ずかしそうではなかった。
彼女は、男がズボンを履き、シャツを着て、ズボンの中にシャツをたくし込むのを見ていた。男はズボンのチャックからペニスを出したままでいた。そして、一度、彼女の方に目をやり、ウインクをした後、部屋から出て行こうとした。夫が男のソレを見るかもしれないと恐怖に駆られ、彼女はアッと声を出した。男はその声に彼女の方を振り返った。
「お願い、それをしまって」
「旦那に、奥さんが入れてもらって喜んだ代物を見られたくないのかな?」
「ええ。主人には知られたくないの。いい? あなたにセックスされたことは、いずれ知ると思うし、隠しようがないわ。でも、主人には、あたしは嫌々犯されたと思ってほしいの。あなたがどれだけ大きいかは知られたくないの」
「分かったよ、奥さん。でも、あんたの旦那は、奥さんが思ってる以上に、いろんな声を聞いたと思うぜ。旦那は警察に通報すると思うか?」
彼女は声を小さくした。「しばらくは通報しないように、あたしが何とかするから。主人は、妻が黒人に犯されたと警察に知られたくないと思うはず。それに、世間にバレたらいろいろ怖いし」
「ああ、そうだな。あんたの旦那なら、この件は、この家の中にしまっておきたいと思うだろうな」 と男は声に出して笑い、彼女も笑みを浮かべた。
「じゃあ、またな」と男は向きを変え、部屋から出た。出る前に、半立ちのペニスをズボンの中にしまうところを彼女に見せた。
だが、彼は邪悪な気持ちを感じていた。部屋を出て廊下に出るとすぐに、股間をさすり始め、やがてズボンの中からペニスを引っ張り出したのである。