Reunion 「再会」
「いつになったら、あなたがあのフェンスから顔を出すんだろうって思っていたのよ」 彼女はそう言い、僕はすごく驚いて、危うく倒れそうになってしまった。「見たかったら、見せてくれって頼むだけでいいのに」
「ぼ、僕は……あの……ただ、僕は……」 僕は新しく引っ越してきた隣人をじろじろ見ていたことの言い訳を探して、言葉に詰まっていた。本当の理由は決して言えない。彼女はすごい美人で、しかも裸だったし、一方の僕はやりたい盛りの10代の若者だったのだから。
「リラックスして」 彼女はそう言って、うつ伏せの格好のまま、僕の方に顔を向けた。彼女の顔は、不思議にどことなく見覚えがあった。「あたしは気にしないから。それに、あたしたち古くから友だちだったんだから、なおさら」
「え? だって、君は先週、引っ越してきたばかりじゃ?」
彼女は笑った。歌うような笑い声。その声にも僕は記憶をくすぐられた。僕は首を突き出し、改めて彼女の顔をよく見た。こんな可愛い子にどこで会っただろうかと思い出そうとした。同級生だった子か? 友人の友だちだった人? でも、確かに言えることとして、彼女がウチの隣に引っ越してくる前に、僕が彼女に会っていたとしたら、絶対、忘れるはずがないということ。
「まるで、今にもポンと弾けそうな顔をしてるわよ。あたしは誰だろうって、頭の中、記憶を検索しまくってる。可愛いわ。あなたにひとつだけ、ヒントをあげる。あたしは、最後にあなたと会った時とは、ずいぶん変わったの」
それなら完全に納得できる。たったひと夏で、信じられないくらい変身してしまう女の子たちを何人も見たことがある。高校2年から3年になるとき、ベッキー・キングは夏休みの間に30キロ近く痩せて、全然、見違える人になった。多分、ここにいる隣人も同じような変身を遂げたのだろう。でも、それでも僕は彼女が誰か相変わらずさっぱり分からなかった。
「あん、もう。まだ分からないの? ちょっと視覚的な助けが必要?」
僕が返事をする間もなく、彼女は仰向けになって、裸の全身を露わにした。最初に目が行ったのは、彼女のツンと張りのある胸。そして、その頂点の半勃起した乳首。僕が見たことのある乳首の中でも最高に完璧と言える形だった。僕はあまりに気がそぞろになっていたのか、彼女の脚の間に見えていたモノが、ほとんど、頭の中に登録できない状態だった。だけど、突然、その存在に気づき、僕は1トンものレンガを落とされたような衝撃を受けた。
彼女は再び明るく笑った。「ちょっと、びっくりした?」 と彼女は小さな柔らかいペニスを握って言った。もしペニスにも女性的なペニスというのがあるとしたら、彼女のそれがその形容に値するのは確かだった。
「き、君は……女の子じゃないのか……」
「あたしは女よ。ちょっと余分なのがついてるだけ」
「でも……」
「まだあたしが誰か分からないのね、ジミー?」 僕は頭を左右に振った。目は相変わらず彼女の股間のモノに釘付けのままだった。「あなたは前からかなり鈍かったものね。あたしよ、ケーシー。あたしのこと覚えてくれてると期待してたんだけど」
ケーシー? 僕は彼女の顔を見た。確かに旧友の面影が見えた。彼に最後に会ってから4年になるけれど、いったんケーシーの面影を探し始めると、確かに、彼としか見えない。いや、彼女というべきか。
「あたしがここを離れたのは、これのためだったの。昔のあたしを知ってる人たちに囲まれた環境で転換をしたくなかったの。でも今は、もうそれを心配する必要はないわ。あなたでもあたしだと分からなかったなら、誰も分からないから」
「ぼ、僕は……なんて言っていいか分からない。だけど、君は綺麗だよ」
「相変わらず、優しい人。あなたがその点を変わらずにいてくれて嬉しいわ。それでね……あたしはこの出会いを4年も待ってきたの。多分、それ以上待ってきた。でも、今、両親は家にいないのよ。それに、あなたがあたしを欲しがってるのも知っている。だから……そのフェンスを飛び越えて、あなたがどんな男になったのか、あたしに見せてくれない?」