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The other road 「別の道」 

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The other road 「もう一つの別の道」

「こう言って、何か変わるならの話だけど……」 あたしは彼女に目を合わすことができず、床に目を落とした。「ごめんなさい」

顔を上げると、マーガレットは、怒りに燃えた目であたしをにらんでいた。愛する人が怒っている。しかもその怒りは完全に正当な怒り。それよりも少し悪いかもしれない。あたしは、できる限り彼女の怒りに耐えていたけど、彼女に悲しいほど酷いことをしたのは自分だと知っている。それは事実で、あたしはそれから逃れることはできない。

「ごめんなさいって、それがあなたの説明? それとも言い訳かしら?」 と彼女は鼻で笑った。「あなたを見つけたと思ったら、ダリルのペニスを根元までアナルに入れられてたけど、ごめんなさいと言ったから、それでいいと? 最低ね、レズリー。謝るにしても、最低」

「こんなことをするつもりはなかった」とあたしはつぶやいた。

「本当に? あなたはあたしを弄んだのよ。みんなを弄んだ。まあ、今、あなたは欲しかったモノをもらってるところじゃないの? こうなる計画だったんじゃないの? あなたのフェチを賄ってくれるバカな女を見つけて、手術やらホルモンやらのおカネを全部、あたしが払いきったところを見計らって、本性を露わにする。そういうことだったんでしょ? 最低!」

「そんなふうに進んだわけじゃない」 自分が全裸でいることが気になって仕方なかった。ダリルは、すでに部屋の隅に退散していて、勃起を隠すのに必死になっていた。「こういうことになるなんて、全然、思っていなかったの。今日までまったく。あなたが思っていた通りだったの、今日までは」

始まりは、夫婦のベッドの中、軽く女装することだった。ふたりの関係にちょっと味付けをしてみようと思って始めたことだった。でも、あのパンティに脚を通した瞬間、単に「フェチ」というラベルをはるかに超える何かがあることに気がついた。その瞬間から、あたしはどんどん女性化の道を進み始めた。そして、その間、ずっとあたしのそばにいてくれたのがマーガレットだった。まさに、パートナーを献身的に支えるガールフレンドを絵に描いたような存在だった。すべての費用を払ってくれたし、彼女自身、あたしの女性化の過程に熱心に参加してくれた。何より、後になって、ずっと前からあたしの中に隠れていたと分かった、あたしの中の女性の部分。あたしがそういう女性になるのを彼女は手助けしてくれたのだった。でも、彼女に隠れて浮気をすること。それだけは、元々の計画にはなかったことだった。少なくとも意識的には、そんなことは考えていなかった。自分でも、そういうことをしたい気持ちがあるとは思ってもいなかった。長年の友人の前にひざまずき、その太い肉棒を見つめた時。その時まで、まったくそういう気持ちはなかった。

「その時のあなたの顔を見たわ。ずっと見ていた。あなたが、あういうことをするつもりがあったかなかったかなんて、あたしはどうでもいいの。実際に起きたことなんだから。実際にあなたはダリルとやっていたんだから。それに、あなたは、もう前には戻れないでしょ? あなたがこういう方向に進むはずはないって思っていたけど、今は、そんなことを思っていたあたしは何てバカだったんだろうって思ってるわ」

「ほ、本当に、ごめんなさい」 他に言うべき言葉が見つからず、あたしは繰り返した。彼女は正しい。隅から隅まで正しいことを言っている。彼女を傷つけてしまったことを悔やんでいたけれど、彼女に別れないでくれと言い争うつもりもなかった。

「危うく、あなたのことを信じるところだったわ」と彼女は立ち上がった。ドアへと向かいつつ、彼女は振り返った。「あなたがいないときに、あたしの荷物を取りに来るわね。

そして、彼女は出て行った。あたしは彼女が出て行ったドアを見つめていた。

「それじゃあ……」 とダリルが部屋の隅から呼びかけた。「またやりたいんだろ?」


[2019/02/06] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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