Training of a mistress 「女王様になるトレーニング」
ミシェルはモニターを見て溜息をついた。「彼、またやってる」
ミシェルの母は、読んでいた本から顔を上げた。「また? 今度のはどこで手に入れたのかしら?」
ミシェルは肩をすくめた。「知らないわよ。あたしのじゃないわよ。多分、ネットとかで買ったんじゃない? それとも、街のお店に買いに行ったのかも」
「お前、何をしなくちゃいけないか、分かってるだろ?」 と彼女の母は、あごで奥の部屋を指した。
「でも、ママ! 彼、アレをやってるだけよ。どうして、あたしたち、そんな彼を止めようとしてるのかも分からないわ。彼は別に自慰をしてるわけじゃない感じだし」
「もう一度、お前に説明しなくちゃいけないのかねえ?」と彼女の母親は立ち上がった。ミシェルの隣に歩みより、モニターに映ってる光景を指さした。「これはお前の責任なんだよ。お前が私に助けを求めてきた時、お前に言っただろう? 忘れたのかい?」
ミシェルは頭を振った。「でも、あたし、こんなに大変なことだと思っていなかったの。ママは、パパの時にはすごく簡単にやっていたように見えてたんだもん」
「乱暴な男を女性化するのは、大変な犠牲が必要なのよ。常時、厳格でなくてはいけないの。男どもが一歩でも一線を踏み越えたら……それが、あそこにいるシーンがしてるように、お前が望んだ方向だとしてもだよ?……その時は、容赦なく、踏みつぶさなきゃいけないの。ちゃんとルールをしっかり決めて、決してそのルールを破らせないこと。どうしてそうしなくちゃいけないか、お前も分かっているだろ?」
「知らないわ」 ミシェルは頭を左右に振った。
「そうしないと、男どもは勝手に考え始めるからよ」と彼女の母親は言った。「彼らは、他のルールについても疑いを持ち始める。あのディルドで遊ぶこと。それについて、今、疑いを持ったら、明日は、どうして自分はこんなことまでするようになったかと考え始めるかもしれない。自分の決定を後悔し始めるかもしれない。そして、今のように、お前が自由にできるシシーになってるより、元のように、お前のボーイフレンドでいた時に戻りたいと思うようになるかもしれない。ミシェル、先のことを考えなくちゃダメ」
ミシェルは溜息をついた。「分かったわ」
「それでいいの」と彼女の母親は笑顔になった。「でも、お前なら、ちゃんとした女王様になれるわよ。さあ、あっちに行って、誰がボスなのか彼にしっかり教えてやりなさい」