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Choices 「選択肢」 

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Choices 「選択肢」

「もう……もう、こんなこと続けられない。彼女にバレてしまう」

「そんなの誰が気にするの? あなたは彼女を愛してないんでしょ? 元々、彼女を愛したことなんかなかった」

「もっと複雑なんだ。それは分かってるはずだよ、ライリー。彼女とは高校時代から一緒だったんだから」

「それはあたしたちも同じでしょ? それに、彼女がカウチで眠ってる隙に、あなたがあたしの部屋に忍び込んできたことを覚えてないの? あたしとふたりで釣りをしに行くと言って、何度も一緒に旅行したことを忘れてしまったの? それに……」

「全部覚えているよ。でも、彼女は俺の妻なんだ」

「彼女のことを愛していないばかりか、そもそも、好意すらもっていないのに? これまであなたは、何回、彼女と離婚したいと思ってきたっていうの? 分かってるでしょ? あたしたち、やろうと思えばいつでもできるの。ふたりで荷物をまとめて家を出ればいいのよ。何も気にすることなんか……」

「一緒にどこに行くの? 俺にはここでの生活がある。それは君も同じだろ?」

「あたしはそんなのどうでもいい」

「でも、俺はどうでもよくはないんだ」

「あたしが本当の女だったら、あなたは躊躇ったりしないんでしょうね」

「そんなこと言わないでくれ」

「あなたはいつもそれを問題にしてきた。あなたはあたしのことを女として見ていないのよ。どんなに胸を大きくしても、どんなに女性的な服を着ても、あたしは、あなたにとってはずっとカレンの可愛い弟のままなのよ」

「俺は、そんな……それは違う……そうじゃないんだ」

「じゃあ、そうだと証明して見せて。あたしと一緒に逃げて。彼女にちゃんと理由も言って。そうすれば、あたしたち本当に一緒になれる。こそこそ隠れて会うこともなくなる。だましたりすることもなくなる。あなたとあたしのふたりだけ。ずっと」

「俺は……ああ、俺に選択をさせないでくれ、ライリー」

「あたしかカレンのどっちかなの。両方はありえない。片方を選んで。あなたが選ばないなら、あたしが代わりに決めてあげるわ。あたしは出て行く。そしてあなたとは二度と会わない。でも、どちらにせよ、あなたは、今日、どちらか片方を失うことになるの」

「俺には……できないよ」

「だったら、あたしが出て行くわ。あなたの最愛のパートナーさんに、あたしの代わりにさようならを言ってね。それに、あたしがあなたのためにしてきたこと、それと同じことをカレンにやらせられるよう、幸運を祈ってるわ」


[2019/03/18] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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