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心が望むものをすべて 5 (7) 


月曜の朝、職場に行くと、いつもの3人の友だちと、先週末の外出のことについての話になった。3人とも、私が突然姿を消してしまったと言い、私に何が起きたのか心配していた。私は、ある部屋でエッチな光景に出会ってしまい、結局、早く切り上げて、一人で家に帰ったと答えた。すべて事実で嘘はない。後になって、グウェンが私だけを連れ出した。彼女は笑みを浮かべていた。最初はためらいがちの笑みだったが、次第に本当の温かみがこもった笑みになった。

「それが、あなたにとって良いことだったらいいと思ってるの。本心で言ってるのよ、クリステン。あなたは私にとってとても良い友達でいてくれてるから。私が悪い友達だったときでも、あなたは変わらずにいてくれたわ。あなた、こんなに長い間、独りでいるなんて、もったいないもの。あなたはそんな女じゃないわ」

グウェンが何を言おうとしていたか、正確には分からなかったけれど、私は言葉を額面どおりに受け取って、彼女に感謝した。

私には決めなければならないことがあった。賢い決断はというと、できるだけ早く、新しいヘアスタイリストを探し出すことだった。たとえ、レキシが私が知ってるということを知らなくても、あんな光景を見た後で、どういう顔をしてレキシに会えるだろう? でも、そこまで考えて、私はダニーはどうだったろうと思った。私が彼の陰で続けた様々な男遊び。それをダニーは知っていながら、いつも彼はちゃんと私と接してくれていた。ダニーにとっては、単なるヘアスタイリストどころかもっと重い事実だったはず。レキシはずっと前からの私の親友だった。厳密に言って、レキシは私をだまして、ダニーを寝取ったわけではない。私に隠れてしたわけじゃない。ダニーとは夫婦の籍は入ったままだが、今のダニエルは、いわば、フリーの状態だ。そのダニーが誰かと一緒になるとしたら・・・

私は、いつもどおりに水曜日にレキシのところにいくのを続けることにした。レキシは満面に笑みを浮かべて、私を椅子に座らせた。彼女は、いつもどおりに元気よく、いろんなことについておしゃべりをしていた。いろんなこととは言っても、特に何の意味もないことではあったが。ヘアが終わり、私は椅子から体を起こし、振り向いてレキシの顔を見た。生き生きとして、明るく輝いた顔をしていた。何も言わず、ただ彼女の顔を見つめていると、彼女の顔からゆっくりと笑みが消えていった。

「どうしたの?」

「私、あそこにいたの」 静かな口調で言った。 「見ていたの」

レキシは、私の言っていることが分かったようだった。顔を赤らめ、うつむいた。それから再び顔を上げ、私を見た。

「私は謝らないわ」 平然とした口調で返事した。

「謝って欲しいとは言わないわ」

「じゃあ、どうしたいの?」 彼女が身構えようとする感じがした。

「私がしたいのは・・・」 腕時計を見た。 「あなたをランチに連れ出したいこと。ここを抜け出せる?」

レキシの顔に笑みが戻った。

「親友のためならいつでも時間を作れるわ」 嬉しそうな声で彼女は答えた。

[2006/10/27] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

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