「リチャードさん、何がしたいんですか?」 モニカは歯を食いしばり、鋭く言った。
「俺はお前たちのベッドの様子を何もかも聞いきたもんでね。ジェフが得ているモノをちょっと味見したくなったんだよ」
リチャードはさらにモニカに近寄り、ぐっと抱き寄せた。「結婚式の時も、我慢しきれなくなってお前にキスをした。お前の処女については、ジェフに譲ってヤラせてやったんだ。今度は俺が味見をする番だろうが?」
ジェフに譲ってやった…… その言葉がモニカの意識下にしっかりと植え付けられた。ある意味、リチャードはあたしを自分のモノだと言っているのだと。
「イヤ、できっこない。そんな……ジェフがすぐそこにいるのに……」
モニカは気づいていなかったが、リチャードを拒絶しようとしているにもかかわらず、この言葉は、夫が近くにいないならば、彼に従ってもよいと言っているように聞こえていた。「ノー」を意味したのに、「もしも」と条件を言っているような言葉を発してしまっていた。
「ちょっとだけだよ、ほんのちょっとだけだ……」
そう言ってリチャードはモニカにキスをした。キスをしながら、素早く両手を下に降ろし、彼女のローブを広げた。
乳房を見られ、触られると思ったモニカは、素早く、胸をリチャードの胸板に押し付ける格好になった。だが、その結果、リチャードは両手を自由に動かせるようになり、モニカの生肌の尻頬をぎゅっと握った。
すでに半立ちになっていたのだが、モニカがパンティを履いてないのを知り、彼のペニスは急速に硬直した。薄地のローブを着ているものの、それを除けば、素っ裸の男と女である。リチャードは、この時も舌を挿し入れた。モニカにとってフレンチ・キスはこれが生まれて2回目の経験だった。そして、このキスは、初めての時よりも長々と続いた。
最初の5秒ほどは、モニカも顔を離そうとしていたが、やがて体から力が抜けていき、彼に抱きすくめられるがまま、口を離そうとするのを諦めてしまった。その後は、自分から積極的にキスを返すことはしてなかったものの、もはや抵抗らしい抵抗はしなくなり、リチャードの舌を受け入れ、唇をむさぼられ、尻頬を揉まれるままになっていた。
手のひらに吸い付くような滑らかな肌。リチャードはその感触にうっとりとし、力を緩めた。それを感じたのか、モニカが振り切るようにして顔を離した。「リチャード、お願い……彼に見られるかも……」
この時も、モニカは誤解を招く言葉を使っていた。夫がいないときなら構わないと言わんばかりの言葉だった。
「もう一回だけキスさせてくれ。今度はキスを返してくれよ。1回だけ、ちょっと触りながら長くキスさせてくれ……」
すでに長々とキスをされてしまっているし、体も障られてしまっている。モニカは、これで済むなら、許しても仕方ないと思った。
そもそも、モニカは、むげに断ることができないとも思っていた。リチャードは夫の上司なのだ。それに、ここは、夫がいる寝室から数メートルも離れていない廊下なのだから、これより大変なことは要求されないだろう。そして、この人はこんなに頼んでいる。
妻なら誰でも、こういう状況では、要求に応じた方が良いと思うのではないか。それにモニカは、まだ幼く世間のことを知らなかた。リチャードの求めに応じる他にどんな方法があるか、彼女には分からなかったのである。加えて、彼女はこの行為にスリルを感じ始めていたのだった。
この場で大騒ぎをしたらどうなるか分からない。それは避けたいと思いモニカは諦めて、リチャードに唇を奪われるままになった。舌が口の中を這いまわるのを感じる。彼の両手がお尻の頬を撫でまわるのも感じる。
モニカは乳房を触られまいと上半身を彼に押し付けたままでいたので、リチャードは簡単に右手を彼女の体の前に移動することができた。
大切な部分にリチャードの手が触れてくるのを感じ、モニカは、ビクッと体を震わせた。
女の唇を奪った男が次に攻略するとしたら、その女の胸になるだろう。モニカは胸を守ろうとするあまり、下半身の防御をおろそかにしていた。そのおかげでリチャードは第2段階を飛ばして、直接、第3段階に移ることができたのだった。
モニカは、いきなり恥丘に手をあてられ、予想していなかった事態に驚いた。リチャードは、手を動かしたのと同時に腰を突き出してもいた。勃起の先端が、モニカの下腹部をなぞり上げるように動き、彼女のおへそに触れた。
モニカも、熱いモノが腹部の肌をなぞり上げたことに気づいた。
「ううぅぅ……」
声を出すまいとしていたにもかかわらず、キスをされ唇を塞がれているにもかかわらず、モニカは思わず声を出していた。
キスは続いた。リチャードの指は彼女の陰毛と戯れた後、陰唇の内側へと滑り込んだ。
……この何日間か、想像するだけの日々を過ごしてきたが、とうとう、この女の大切な部分に手をつけたぞ! いや、ただの「大切な部分」じゃない。最も大切な部分だ! しかも、濡れているじゃないか? お前はついさっき、バスルームできれいに拭ったばかりじゃないのか?……
いつの間にかリチャードのローブは前が開いていた。
モニカは、舌で口腔を探られ、体をまさぐられながらも、驚くほど固い熱い棒がへそのすぐ上の辺りに押し付けられているのを感じていた。彼女はリチャードという男をどことなく嫌っていたし、人間として信頼してもいなかったが、それにもかかわらず、なぜか体を預けてしまうのだった。
「ああぁっ!」 彼の指が濡れた狭い入り口を入ってくるのを感じ、モニカはまたも声を上げた。夫がベッドで待っている寝室から何メートルも離れていない廊下で、夫以外の男性の指で貫かれてしまっている。その貫いているものは、ただの指ではあったが、それでもモニカはすでに燃えあがっていた。
つい数日前に処女から女になったばかり。しかも、彼女を女にしたのは、普通サイズのペニスで、2分か長くても5分程度しか持たない代物。そんなモニカであるので、彼女のその部分はいまだ非常に狭いままであり、リチャードの指ですら、彼女には太く感じられていた。
「リチャード、お願い。あたしたちこんなことは……」
またも、モニカの言葉はリチャードを励ますことにしかならなかった。「あたしたち」ではなく、「あなたは」と言うべきだったのである。モニカ自身をこの行為の共犯者としてしまいかねない言葉の選択だった。
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ジェフとのセックスから30分も経っていなかっただろうか。モニカは完全には満足していなかった。そういう状態は、女性に、ある効果をもたらすものである。モニカは自分からキスを返していた。そのキスは、いやいやしているという気持ちと、もっとしてほしいという気持ちが入りじまったものに変わっていた。
くちゃくちゃとした音が廊下に響いていた。キスの音と指の音の両方からの音だった。リチャードは、このままモニカを抱き上げて、この場で犯してしまおうかと思った。もし、ジェフが気づいたら、カネの話しを持ち出せば何とでもなるだろうと思った。
……このまま指でされ続けていたら、イッてしまうかもしれない……
モニカはオーガズムに達した経験はなかったが、それがどういうことかについて漠然としたイメージは持っていた。
……もし、このままリチャードにイカされてしまったら、彼はあたしを支配する力を持ってしまう。あたしは抵抗できなくなってしまう……ダメ、ダメ、それは絶対にダメ!…
リチャードがさらに進めようとし始める前に、モニカは顔を離し、下に手を伸ばし彼の手を掴んで、大切な部分から離させた。彼の手首を握った時、偶然に彼女の手首のところがリチャードのペニスを擦った。そしてモニカは、改めて、彼のソレがいかに固く、熱くなっているかを知ったのだった。
だが、その動きをした過程で、モニカはリチャードの体との間に隙間を作ってしまったのだった。当然、リチャードはそのチャンスを逃さなかった。モニカの局部から手を引き離されたものの、すぐさま、その手を彼女の左の乳房へと移動させ、さらにもう一方の手も右側の乳房へと動かした。乳房を両方とも手で覆っているリチャード。手のひらに当たる突起が、両方ともみるみる固くなってくるのを感じた。
胸を触られてしまっていることも、モニカにとっては、再びキスをする言い訳になっていたのかもしれない。リチャードは胸を愛撫しつつ、再びキスを求め、そして、彼女はそれを許したのだった。再びふたりの唇は重なり、彼の舌はモニカの口腔へと侵入した。
……彼にはすでにあそこを触られてしまっている。だったら、今更、胸を触るのを拒んでも、意味がないわ。実際、この前、あたしの胸は見られてしまっているんだから……
リチャードの愛撫を喜びつつも、そんなことをさせている自分を嫌悪するモニカだった。モニカは、濃厚なキスを受け止めつつ、何秒かリチャードに胸を触らせ続けた。興奮で胸が高鳴り息苦しくなるのを感じ、ようやくモニカはキスを解いた。
「もう十分でしょう、リチャード! お願い、もうやめて! 全部触って満足でしょう! あたしは部屋に戻らなくちゃいけないわ。そうしないと彼があたしを探しに出てくるわ!」
再び、モニカは間違った言葉を使っていた。これでは、彼女も共犯者であるような言葉だった。
モニカの不安がリチャードにも通じたのだろう。薄暗い廊下のため、モニカにはよく見えなかっただろうが、リチャードはにやりと笑っていた。「確かにそうだな。さしあたり今はこれで充分だ。ちょっと味見をしただけだがな」
……ちょっと味見?…… 生肌のお尻を存分に触り、1分以上も、アソコに指を入れて、1分近く、左右の乳房を触っていたのに? ……さしあたり今は?…… ちょっとした味見どころじゃない。キスのときに舌まで入れてきたのに?
モニカは、夫の上司が「さしあたり今は」と言ったことを、はっきり意識していた。
モニカが体を離した後も、リチャードはローブの前をはだけたまま立っていた。勃起したペニスが上を向いている。彼は、ひょっとしてモニカがこの一物をまじまじと見たり、あわよくば握ったりするかもしれないと期待していた。だが、モニカは、意識的にまっすぐ前を見たままでいた。視界の隅にソレが見えていて、興味も惹かれ、よく見てみたいとも思ったが、ここで、ソレを見たりしたら、まるで自分がソレを欲しがっているとリチャードが勘違いしてしまうかもしれない。
それでも、彼女の心の中、声が聞こえた。……すごく突き出ているわ。とても大きそうに見える……
リチャードはわざと前を広げたまま、ゆっくり堂々とバスルームへと歩き始めた。
モニカは逆の方向へとそそくさと進み、寝室に入り、静かにドアを閉めた。息を止めながらベッドへと視線を向けた。月明かりの中、ジェフが横になっているのを見て安心する。多分、彼は眠ってしまっている。
ベッドに近づきながらモニカはローブを脱ぎ裸になった。うつむくと、窓から差し込む月光に照らされた自分の体が、一部、光っているのに気づいた。ヌルヌルした感じの領域がおへそのところから胸の谷間に広がっている。それはリチャードの先走りの跡だった。
モニカは、ハッとして月明かりから逃れ、素早くジェフを見た。幸い、彼は横寝になっていて顔を向こうに向けていた。多分、本当に眠っているのかもしれない。モニカは、好奇の気持ちから、再び月明かりがあるところに戻り、自分の体を確かめ始めた。
リチャードはキスをしながら、自分の一物の硬さ、大きさを味わわせてやろうと、モニカの腹部に擦りつけていた。それにより、プレカムを多量に彼女の肌に刷り込んでいたのだった。モニカは、ジェフに見つかってはいけないと、タオルを掴んだ。
思っていた通り、ジェフはすでに眠りに落ちていた。モニカは、安心して、窓際に寄り、月光の中、もっと詳しく自分の姿を確かめることにした。
……ああ、すごい。リチャードは、こんなにたくさんあたしに塗り付けていたなんて! それに、アレ、すごく反り返っていた。彼のアレ、長いのね、多分……
モニカは、ついさっきの出来事を振り返ってみたいと思った。夫を起こす気はなかったので、できるだけ静かな動きでベッドに上がった。なぜか彼女は、タオルを手にしたものの、体をぬぐってはいなかった。彼女の下腹部にはリチャードのプレカムが擦り込まれたままだった。
隣で眠る夫の安らかな寝息を聞きながら、モニカはリチャードのペニスのことを思い浮かべていた。アレは大きそうに見えたけど、そんな彼とセックスしたら、どんな感じになるのだろう? これは、ただの想像よ。あたしは今は結婚してるの。もちろん、ジェフに隠れて浮気するなんて考えられな。もう2日ほどしたら、新居に引っ越して、ここを出ていく。それで、これはお終いになるんだから……
だが、彼女の両手は別の意思を持っていた。左手の指が1本、アソコの中へ滑り込み、同時に、右手も腰のところから腹部へと動き始めた。……良かった、大部分、乾いてる。……でも、まだいくらか、ヌルヌルしたのが残ってるみたい……
モニカは、湿っている部分を見つけると、そこを指でなぞり、その指を股間へと戻した。そして、ヌルヌルした指先で陰唇を左右に広げ、そこに塗り付けた。彼女はこの動きを何度か繰り返し、彼女自身、自分の分泌液で股間を濡らした。この日2回目のことだった。……ああ、これ気持ちいいわ、リチャード。あたしのこの状態、あなたにも知ってもらえたら……
隣の部屋、モニカの頭から1メートルも離れていないところで、リチャードも手を動かしていた。
淫らな妄想をしていた時間は5分程度だったかもしれない。リチャードの先走りの感触もその妄想に拍車をかけた。モニカは声を出さぬように努めつつ、生まれて初めてのオーガズムに達していた。そう、その通り、彼女にとって初めてのオーガズムだった。今まで、ジェフには彼女をそこに至らせることはできずにいた。
壁を隔てた先にいるリチャードにとっては、もちろん、これが初めてのオーガズムではない。だが、彼にとって、自慰によるオーガズムでは、最高と言えるオーガズムであった。記憶に生々しい乳房の感触、陰部の締まり具合、指に残る匂い。そう、リチャードはモニカの匂いを楽しみつつ自慰するために、この時ばかりは左手を使っていた。
生まれて初めての絶頂を経験し、モニカは仰向けで息を荒げていた。若々しい乳房が上下に隆起を繰り返す。だが彼女は罪悪感に襲われていた。とうとう絶頂を感じることができたのに、それは、目の前に寝ている夫のペニスによってではなく、記憶の中のリチャードのペニスによってであったから。
ある意味、モニカは、この時点で不貞を働いてしまっていた。……でも、実際に不倫する気はないわ。今は……。いや、これからもずっと。
隣の部屋では、モニカを不倫に誘い込むべく計画を練っている男がいた。どんな手を使ってでも、モニカを俺のモノにしてみせる。その目的の達成のための前段階としての計画も考えてあるんだ。
その夜、モニカは眠りにつけず、もう一度、トイレに行った。夫が眠る部屋を出るときは、静かに出たが、リチャードの部屋の前を歩くときは、わざと少しだけ足音を大きくして歩いた。モニカは、その足音をリチャードに聞こえてほしいと思っていた。
そして、リチャードは確かに足音を聞いていた。だが、彼はその足音はジェフだと思い込んでいた。モニカはすでに一度トイレに行ってるのだから、と。
モニカはトイレに数分間いた後、リチャードに聞こえるようにとトイレのドアを少しだけ開けて水を流した。この時の音もリチャードは聞いていたが、モニカだとは思っていなかった。そもそも、モニカが水を流すときは、ドアを閉めたままのはずだから、いま水を流したのはジェフだろうと。
モニカは、寝室に戻るとき、わざとゆっくり廊下を進んだ。その間、ずっとリチャードの部屋のドアを見つめていた。ドアが開くのではないか、少しだけ隙間ができるかもしれないと。だが、何もなく、モニカはかなりイライラした気持ちでベッドに戻った。
彼女は、リチャードが、またも「偶然」出てくるのを期待していたのだった。前に起きたこと以上のことをするつもりはなかったけれど、その気がないフリをしつつ、彼に体を求められるという状況は、どこかワクワクするところがあった。
加えて、彼女は、一夜のうちに2回目ということもあり、今度は彼のペニスを触れてみようかとも考えていたのだった。……それだけなの。キスをしながら触るだけ。
でも、それは今夜だけのことにするの。ちょっと気持ちが弱くなっている時にリチャードが付け入ってきただけのこと。今夜が終わったら、もっと気丈に振る舞うの……と。