だが、モニカが驚いたのは、アヌスではなくバギナの方だった。リチャードのせいでモニカのあそこは若干、ヒリヒリした痛みを感じるようになっていた。彼のペニスがジェフのよりも長いからというよりは、むしろ恐らく、リチャードの亀頭がジェルのよりも太いせいによるのだろう。さらに、彼が、挿入をするたびにモニカが見せる反応を見るのを楽しんでいたせいでもある。
リチャードは、亀頭部分だけを使って出し入れをする動きを繰り返していた。入れるたびに、彼女の陰唇が広がり、亀頭部分に愛しそうにまとわりつき、包み込む感触がたまらない。彼女のその部分は、入れる時は、キツク閉じているのに、押し込むと、抵抗を諦めたかのように屈服して唇を開く。それなのに、抜くときは抜くときで、今度は名残惜しそうに抜き切るときまで離そうとしない。極上の感触だった。そして、モニカもその動きを喜んでいた。とは言え、かなり擦られ痛みが生じていたことは否めない。
リチャードは、内実、意図的に彼女に痛みを残すよう動いていた。明日になり、自分と別れた後も、モニカは、陰唇のヒリヒリした痛みを感じ、自分との行為を何度も反芻することになるだろう。それを狙っていた。さらに、多分、明日の夜になるだろうが、ジェフが戻り、モニカとセックスするときにも、この痛みを感じるとしたら、なおさら面白い。
リチャードは、モニカの中に入った回数でも、時間の長さでも、ジェフを超えたいと思い、盛んに抜き差しを繰り返したし、モニカの方も自ら腰を突きあげ続けた。ほとんど、つながりっぱなしでいたと言ってよい。
ふたりは、実際、結合したまま、うたた寝した。ふたつある枕のうち、ひとつは仰向けになってるモニカが使った。もうひとつの枕は、いつの間にか床に落ちていたが、リチャードは、それを拾うのもおっくうと感じ、モニカに覆いかぶさったまま、彼女の肩を枕がわりにして眠った。仮眠をとる間も、リチャードは、ほぼ勃起をしてる状態で、モニカの中に埋め込んだままだった。
もちろん、リチャードは目標を軽々と達成した。結婚してから3週間、その期間で通算してジェフがモニカの中にいた時間が計測できるとして、リチャードは、それよりも多くの時間をモニカとつながってすごしたのだった。しかも、たった一夜で。単に時間だけの話しではない。彼は、ジェフのよりも長く、亀頭も大きいペニスを使って、考えられるあらゆる方法でモニカの体を堪能した。
だが、モニカが一番楽しんだのは、彼のペニスではなく、むしろキスであった。実際、リチャードはジェフよりもキスが上手だったし、ふたりは、唇を重ねることができる体位でいるときは、ほぼいつも、キスをしていたと言える。
若く、未熟だったモニカは、キスを愛の行為であるとみなしていた。実際、初めてオーガズムを感じたのも、セックスをしながら、キスされたことが大きな理由だった。
オーガズムについて言えば、リチャードとの最初のセックスの後、モニカが彼に生まれて初めてのオーガズムだったと言ったことは、リチャードを大いに喜ばせ、彼の自尊心をとてつもなくそそり立てた。モニカは、最初は、自慰でオーガズムを味わったことを秘密にしておくつもりだったが、セックスの情熱に任せて言葉のやり取りをしているうちに、どうしても、それを秘密にしておくことができなくなってしまったのだった。
モニカは、あの「廊下での出来事」のことを再び話題にし、ひょっとしてリチャードが部屋から出てきてくれるかもしれないと、少し待っていたと言った。それを聞いてリチャードは「もったいないことをしたなあ」と笑った。「だけど、俺が知らなかったのは多分良かったかもな。知ってたら、お前にとって生まれて初めての本物の男とのセックスが、廊下で立ったままのセックスだったってことになってしまったかもしれないからな」
それを聞いてモニカは嬉しそうな顔でリチャードにしがみついた。夢中になって彼にキスを繰り返しながら、「いろいろ教えてくれてありがとう」と言った。本当は「愛してる」と言いそうだったが、それは口には出せなかった。
もし、その言葉を言っていたら、リチャードにとっては、その前の会話よりも嬉しいことだっただろう。実際、リチャードはその言葉をモニカに言わせようとしていたのだが、彼女は直接的には言わなかった。その言葉を言ったら、ふたりの関係は確定的になっていたと言える。
だが、言葉は別として、モニカの振る舞いの変化は、非常に明らかだった。嫌々してるようなそぶりは消え、もっと多くを自ら求める態度に変わっていた。リチャードの頭を抱きかかえキスしながら、しきりと彼の分身に向かって自分から腰を突きあげてくるようになっていた。たった一夜で、しかも、夫から車で4時間しか離れていない場所で、モニカは貞淑な新妻から、体を使われるのを喜んで求めるオンナへと変わっていた。
リチャードは、モニカをこれほどまで変えたことに有頂天だった。そして、この支配力を使って彼女を新しいレベルに押し上げようとした。
「モニカ? お前は、ジェフのアレを口に入れたこともなければ、アナルセックスもしたことがなかった。だが俺とはしたわけだ。だから、これは俺たちだけのことにしたいんだが、どうだ? 口でするのもアナルセックスも俺と一緒の時だけにするんだ。そうすると、俺とお前の間の特別なコトと感じられると思うぞ」
そう言った後で、今度は、自分がどれだけモニカを支配しているか、確かめる質問だ。「お前もそうしたいと思わないか? ジェフには口でやるのも、アヌスですることも許さないんだよ。どうだ?」
もちろんリチャードには、このようなことを求める権利などなく、どうするかはモニカの勝手だったが、彼女は一瞬もためらう素振りは見せなかった。「いいわ。ジェフには、これまでしたこと以外はさせないことにする!」 それほど彼女はリチャードに、いや、リチャードのとのセックスで得られる肉体的、心理的な快感に魅了されてしまっていたのだろう。
「約束するか?」
「約束する」
その返事を聞いた瞬間、リチャードは部下の若妻を完全に支配したと確信した。自分だけがモニカを相手にできる行為が確定した瞬間だった。と同時に、ジェフが、知らないうちに、「夫の権利」のいくつかを喪失した瞬間でもあった。
それから、しばらくしてリチャードは帰っていった。すでに、夜は明け、陽も高くなっていた。アパートの階段を降り車を出すとき、特段、音をたてないようにと注意する必要もない時間になっていた。
モニカは裸でカウチに横たわったままの姿でリチャードを見送った。疲労感はあったけれども、充実した疲労感だった。何もかも初めてのことだったので、自分の体がどうなったのか分からなかった。リチャードが帰った後、ぐったりとしたまま、手鏡を取り、自分の股間を見てみた。その部分は、リチャードのせいで赤く腫れあがっていたが、むしろ、そのような状態にされたことが嬉しい気もした。念のためにアヌスの方も確かめた。そちらは普通の状態だったのを見て、安心した。
モニカが罪悪感を感じたのは、ずっと後で、その日の夜、ジェフがシカゴから戻ってきて、彼女にカラダを求めてきた時だった。