僕は、背筋を伸ばして立った。着替え室の壁にある全身鏡を見て、鏡の中の光景にうっとりとしてしまった。ピンクのハイヒール。皮のレース紐がふくらはぎに巻き付いて這い上がり、蝶結びに結んだところに金色の南京錠がついている。ピンクのストッキングは、同じくピンク色のガーターベルトに吊るされ、見るだけでぞくぞくしてくる。ピンクのネグリジェは流れるようなフォームを描いて胴体を覆い、ピンクのパンティをかろうじて隠している。そのパンティはというと、猛り狂って勃起しているペニスとスパンキングを受けて赤くなったお尻を何とか隠していた。ネグリジェの中に空気をいれ、ふわりとさせる。指先を彩る薄ピンク色の爪が目に入った。そして、アーチ状に切りそろえられた眉毛とピンク色の唇。かつらを被っていないところに目をつぶれば、鏡の中の女の子は、まさにどんな男も自慢げに抱き寄せたくなる可愛い女の子の姿だった。
僕は着替え室から歩み出た。ドナとジェニーも後ろからついて来る。そして、洗練された女性のように店の中を歩き進んだ。先にジェニーが僕と一緒に動いてくれた時にしたように、ヒップを左右に振りながら。店の前まで行き、振り返って、また戻ってくる。途中、綺麗なかつらを並べた商品棚を見かけた。立ち止まって、ブロンドのかつらを手に取り、頭につけた。頭を軽く振って、肩から胸元へと毛先がふわりと降りるようにさせた。
しっかりとジェニーとドナの方を見ながら、2人のところに歩き戻った。ドナの瞳をまっすぐに見つめた後、ジェニーに顔を向け、両腕で彼女を包んだ。女王様姿のジェニーを抱き寄せ、ディープキスをした。挑戦的に舌を絡める。ジェニーもキスを返してくれた。その後、ジェニーは背を反らすようにして僕から離れ、言った。
「ビクトリア、そんなに急かさないの。まだ、ドナにネグリジェ姿になってもらわないといけないから」
ドナの方を向いたジェニーは、すぐにひざまずき、ドナの靴の止め具を外し、靴を脱がせ、さらにはソックスも脱がせた。立ち上がると、今度はドナのブラウスのボタンを外していき、優しく両腕から引き抜き、脱がせた。そしてドナの体を引き寄せ、ドナの乳房とジェニー自身の乳房が触れ合うまでに近づける。両手をドナの背中に回し、ブラジャーのホックを外した。外されたブラがドナの体をゆっくりと滑り降りていく。ストラップが両腕をすべり抜け、愛らしい乳房が姿を現した。ジェニーは脱がせたブラを下に置いた後、手を伸ばしてドナの乳房に触れた。ドナは、女性に触られるという初めての経験に、本能的に引き下がった。
「注意した方がいいわよ。さもないと、次にスパンキングされるのはあなたになるかもしれないから」
ドナは、その言葉に恥ずかしそうにしながらも、微笑み、再びジェニーのそばへと戻った。
「そう。それがいいわね」
ジェニーが言った。