「モニカ、こちらはチャーリーだ」と彼の方を指さした。「彼はシカゴの有力者のひとりなんだ。チャーリーは、今夜、こっちに用事があって来たので、ついでに組織の一番新しい女性を紹介しようと思ったんだよ」
チャーリーという男は、すぐにモニカのボタンを外した胸元に目を向け、すぐに彼女の瞳に視線を移し、その後、彼女の背後の部屋の中へ視線を走らせた。
別に招き入れたわけでもないのに、チャーリーはモニカの横を通り抜け、何も言わずにずうずうしく部屋の中に入った。わずかな家具しかない部屋を見回し、彼は頷いた。「確かにな。これだと、生活を続けるには、ちょっと援助も必要だろう。このモニカって女が本当にいいオンナなら、2週間くらいで俺のシマに異動してもらうよう、取り計らってもいいぜ」
いつか、こういうことになるかもしれないとはモニカにも分かっていたが、今、ここでとは思っていなかった。シカゴに移るまではこういうことは起きないと思っていた。予想したより早く起きてると思った。
「あのベッドとキッチンのテーブルと椅子2脚以外には、持ってる家具は、このカウチだけなのか?」とチャーリーが訊いてきた。
「ベッド」という言葉を聞いて、心臓がドキドキするのを感じつつ、モニカは頷いた。「このアパートは家具が一部だけだなの。カウチとベッドと、テーブルと椅子。あとは冷蔵庫だけ」
チャーリーは微笑んだ。「ということは、自分のモノと言える家具はひとつもないんだな」
「ええ。まだ……」
モニカは、この男を注意深く観察した。ひとつだけ確かなことは、この人が魅力的な男性であるということ。それに加えて、妙に強い男っぽさもあった。モニカはあそこが疼き始めるのを感じた。
「あの……本当にあたしたちをシカゴに移してもらえるんですか? 給与も大きく上がると?……」 モニカはおどおどしつつ尋ねた。
チャーリーは大きな声で笑いだした。「なんでだよ、当たり前だよ、モニカちゃん。アハハ。俺にはできるぜ。もちろん、あんたの旦那さんは、今のまま、良い……労働者として働いてもらうのだけどな」
モニカは「ちゃん」付けで呼ばれ、ドギマギした。驚いたわけではなかったが。
「ええ、そこは分かっています。ミスター……チャーリーさん。ジェフはとても良い労働者としてお役に立つと思います。がっかりさせません」
そう答えながら、モニカは、すぐに「良い労働者」とならなくてはいけないのは誰であるかを知っていた。そう、多分これから数分も経たずして、「良い労働者」であることを示さなくてはならないだろう。
チャーリーはモニカを上から下までじっくり見た。特に胸のところを長々と見つめる。「で、お前はどうなんだ? お前も組織に忠実なメンバーになるのか? 中に入るつもりなのか?」
モニカはうなだれた。足元を見つめながら、小声で言った。「ジェフが出世するためなら何でもするわ。それに、シカゴに移りたいと思っているし」
「何でもする」という言葉で、彼女は同意を示したのだった。気持ちのことを脇に置いて、冷静に人間関係を考えれば、この男性は、自分の夫の上司の上司なのである。リチャードとの間で何らかの愛情があるとしても、それは、この男性との関係では当てはまらない。
チャーリーはニヤリと笑いながら、モニカに近づいた。そして、少し前かがみになり、彼女のドレスの裾を掴み、その後、急にすっくと直立した。モニカは驚いて跳ねあがった。男が直立したのに合わせて、スカートがめくり上がり、パンティもガーターベルトも、ブラジャーも露わになったのだった。
モニカはチャーリーを睨み付けたが、彼は優しそうな笑顔を見せた。彼のそんな笑顔を見たのは、この時が初めてだった。その顔を見てモニカは少しだけ安堵したと言える。ひょっとすると、この人も普通の人かもしれない。モニカも彼に笑顔を返した。
「そういう顔がいいな。あんたも分かったようだな。ジェフはちゃんといい仕事につけると保証してもいいぜ。さあ、両腕を上げてくれないかな?」 彼はまだドレスを握ったままだった。
その間、リチャードはカウチの方に移動していた。カウチに腰を降ろしながら、チャーリーが、バンザイをしたモニカからドレスを脱がせるのを見ていた。一時的に彼女の顔がドレスの陰に隠れる。再び彼女の顔が現れたとき、頬は紅潮していた。脱がされたドレスが椅子へと放り投げられる。モニカはうつむきがちに、視線で放り投げられるドレスを追った。
この展開は、リチャードの時と全く同じだった。チャーリーはリチャードを介してモニカへ接近し、数分も経たないうちに彼女は性的な行為を受け入れることに同意してしまったのである。そして今は、ブラジャーとパンティとガーターベルトの姿になって肌を露わにしている。
こういうことに慣れているのか、チャーリーは事を急がなかった。まずはじっくりとモニカの胸を見つめた。ブラジャーに覆われていはいるが、固くなった乳首は、締め付けているはずの生地の裏からはっきり浮き出て見える。チャーリーは乳房の下側に両手を添え、数回、ぶるぶると揺さぶった。
「いいねえ、じつにいい。早く、このブラを外して、中を見てみたいな」
そう言うとチャーリーはモニカの両肩を優しくつかみ、後ろ向きにさせ、ブラのホックを外し始めた。
背中でホックが外されたのを感じ、モニカは両腕を上げ、チャーリーが彼女の腕からブラのストラップを脱がすことができるようにした。その間、彼女はリチャードと顔を合わせていた。リチャードはモニカが両腕を上げるのに合わせて、彼女の乳房が同じ方向に持ち上がるのを見て、嬉しそうに微笑んだ。モニカは、そんなリチャードの笑い顔を見ていた。
モニカはリチャードから目をそらし、壁を見つめた。ストラップが両手をすぎた後も、彼女は両腕を上げたままでいた。チャーリーは、ブラを外した後、脇の下から手を差し入れ、乳房に触ってくるはずと思ったから。他の女の人の胸をじっくり見たことがないけど、ジェフやリチャードの反応を見ると、あたしの胸は男の人には魅力的に映っているのかもしれない。多分、このチャーリーという人も同じ。あたしの胸をすぐにでも触りたいと思ってるに違いないわ。
ブラジャーが床に落ちた。チャーリーはモニカを前向きにさせ、ぐいっと自分に近づけた。そして大きな両手でモニカの乳房を覆った。張りのある、グレープフルーツほどのサイズの乳房。その量感や張りに嬉し笑みを浮かべつつ、彼は指の間に乳首を挟み、コリコリと揉みしごいた。左右の乳首はみるみる勃起していく。
「おお、このおっぱい、いいなあ。実にいい」とチャーリーはつぶやいた。胸を揉まれ、モニカは屈服したかのように顔を彼の胸板に寄せ、両手を彼の胸に沿えた。
チャーリーは、この反応を見て、モニカが今の状況を受け入れたことを察知した。ここから後は、この女は俺のモノになったな。俺が望むだけずっと俺のモノだ。少なくとも、今夜、夜が明けるまでは俺のモノだな……。
「綺麗なおっぱいだな」 チャーリーはモニカの乳房を握り、乳首をいじりながら言った。モニカは彼の胸に両手を添えていたが、今は、肩に近いところに移動した。そして、再び顔を彼の胸板へと押しつけている。
チャーリーは、モニカとふたりっきりになれたらいいのにと思った。すでに、この女は俺と気持ちの上で「つながってる」と分かるし、もし、優しく愛しあいキスをするというルートを進んだら、この女は確実に温かい反応をするはずだと思えるからだ。単なるカラダだけの征服より、気持ちの入ったセックスの方が何倍もいいのは自明だ。
この可愛い人妻は、こんなにも無邪気な顔をして、こんなにも優しそうなのだが、この状況を理解し、それに合わせた行動をとるまで、1分ほどしかかからなかった。何て女なんだ。いや待てよ、ひょっとして、彼女は俺のことを魅力的と思っているのかも知れない。だからこそ、こんなに素直に俺の気持ちに合わせた行動をとってるのかもしれない。
モニカは夫のためになりたいと思ってる。ここがカギだ。これをできる限り楽しいことにするには、モニカに常時、夫のことを頭に浮かべておくようにさせることが必要だ。
それにリチャードがここにいて、俺たちのことを見ているのも厄介だ。これだと状況が一方向にしか行かない。このままだと、モニカは俺とセックスするにしても、愛し合う行為にはならない。ただの肉体の結合だけのことになってしまう。