Temporary 「一時的」
「そんな目で見るの止めてくれる? 変だよ。それに、気持ち悪いし」
「マジで言ってるのか? 俺が変? お前こそ、変人の女の子のように見えるけど。ていうか、本当の女の子みたいだ。なのに、俺が変だと?」
「これは大したことないって、前に言ったよね? あと2ヶ月くらいだけのことだから。その後は、普通に戻るつもりなんだから。これは全部、一時的なんだよ」
「その胸はとても一時的に見えないけど?」
「まあ、確かにね。ママもそう言っていた」
「じゃあ、お前は母親のことを信じているんだ? お前をこういう姿にした母親を?」
「これが、ウチの家系の伝統だということも言ったよね? 家族の中の男が18歳になったら、3ヶ月は女の子として過ごさなければならない。そうすることで、もっと広いモノの見方ができるようになるというらしいけど。ボク自身もバカバカしいとは思ってるよ? でも、さっきも言ったけど、これは伝統なんだ。ボクも思春期に入ったときから、これをしなくちゃいけないことは自覚してきたし」
「つまり、そのおっぱいが大きくなり始めた頃から、ということ?」
「アハハ、面白いことを言うね? 君って、この世で一番おかしな人みたいだよ」
「ていうか、それ……その胸、本物なのか? 何と言うか……シリコンとかそういうもののように見えないんだが……」
「最初に言っておくけど、ボクは自分の胸について君と話しをするのは、不愉快に感じてるよ。でも、いいよ。答えてやるよ。これは本物。どうやってこうなったかは話すつもりはないからね。これは、他の人のおっぱいと同じく本物とだけ言っておくよ」
「じゃあ、あっちの方はどうなんだ?……分かるだろ? 下の方……。別に見たいわけじゃないけど、お前、さっきから、ちょっと脚を広げるようにして座ってるだろ? で、何て言うか……そこには、なんだか、何もないような感じがするんだが……」
「ちゃんとあるよ、気持ち悪いなあ。テープ止めしてぴちぴちのサポーターを履いてるの。ちゃんとあるからね。ああ、もう、こういう話し、やめないかなあ? 今は、君の女の子の友だちと付き合うような感じでボクと付き合ってくれればいいんだから」
「俺には女の子の友だちなんかいないよ」
「じゃあ、少なくとも、これから2ヶ月間は、女の子の友だちができたことになるね」
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