リチャードは時計を見てチャーリーに小声でささやいた。「フレッド、2時間はとっくに過ぎてるな。カネの分は楽しんだんじゃねえのか?」
後から分かったことだが、チャーリーと言う名の男は存在しなかった。「チャーリー」というのは、リチャードの計画に合わせるためにフレッドが使った名前にすぎなかった。実際、シカゴにチャーリーというボスがいたが、リチャードは、モニカとジェフの前で、とりあえず口に出しただけの名前だった。だが、それ以来、リチャードは幾度となくチャーリーという名前を口に出した。
「まったくだぜ。最高だった」と実名をフレッドという男が熱っぽい声で囁いた。「お前の計画、うまくいったな。シカゴの有力ボスのフリをするのは面白かったぜ。それに、これは言っておきたいが、あの女のマンコは最高だ! あの女が経験した男がふたりだけだと言ってたが、今なら、その言葉、信じるぜ。それに、あの女、本当に可愛い」
そう言うと、フレッドはポケットの中から20ドル札の束を取り出し、リチャードに渡した。「100ドルだったよな?」 彼にとって100ドルは大金だったが、モニカは若く未熟だったにも関わらず、そのカネに見合う女だった。
「ヤリ終わったわけだが、この値段で今も満足してるか?」
「もちろんだぜ。モニカは、俺にとって、これまでで最高のオンナだとも言える。顔は可愛いし、カラダも最高なのは確かだ」
「喜んでいるようで嬉しいぜ。お前が次に俺の店に車を運んでくる時までには、もっと女を揃えておけるかもな。これに女を引き込む方法があるんだ」
「おい、お前、なかなかやるな」とフレッドは笑い、リチャードの腕を軽くパンチした。「だが、今回は、俺は別の運転手の代役だったんだ。普段はシセロとクリーブランドの間を動いてるんだよ」
フレッドはバスルームの方を見やった。そこのドアはまだ閉じたままだった。「今夜は、お前もモニカを抱くつもりなんだろ?」
リチャードはクスクス笑ったが、すぐに真顔になった。「まあな。ただ、お前のあのデカマラを見たときには心臓が口から飛び出しそうになったぜ。お前がモニカに挿し込んだ時の様子や、その後、何度も突きまくったのを見たから言うわけじゃないが、お前のせいで、せっかくのモニカのマンコも価値が落ちてしまったかもしれないな」
フレッドは笑った。「いいや、モニカは大丈夫だぜ。二日くらい休めば、元通りの締まり具合になるぜ」
「どうかなあ」とリチャードは答えた。「モニカの旦那は、明日、帰ってきた時、モニカとヤルかもしれないが、その時、モニカが結婚した時のウブな女の子じゃなくなったと気づくんじゃないかな」
「そりゃそうだな」とフレッドは口元を歪めた。「少なくともモニカが旦那を見る目は、前とは変わるだろうな。お前が言ってるのは旦那の方か? 旦那が、モニカのベッドでの反応から何かあったと思うということか? それとも、俺がみっちりモニカを抱いて、しっかりまんこをほぐしてやった後で、まんこの具合が変わって旦那が怪しむということか?」
「両方だよ。しばらくは、モニカの旦那には仕事をたんまり任せた方が良いな。疲れ切って、家に帰ってもセックスする気が起きないくらいにしてやらなきゃな」
その言葉に、ふたりの男は大笑いした。リチャードは玄関ドアを開ける時、口に指をあてて、フレッドに静かにするように指示した。下の階にいる家主の老女に気づかれないようにとの配慮だった。
フレッドが帰って行った後、リチャードは腕時計を見た。10時半だった。彼はタバコに火をつけ、バスルームのドアを見つめた。
モニカとフレッドの間に起きた様々なことが脳裏に浮かぶ。モニカをフレッドに抱かせるべきじゃなかったかもしれない。ふと後悔する気持ちがよぎった。その感情にはフレッドに対する嫉妬心も混じっていた。