Addicted to him 「依存状態にさせられて」
「あなたが憎らしい」 あたしは両脚を広げ、頬に涙が伝うのを感じながら、小声で言った。彼はぬーっと姿を現し、あたしに覆いかぶさってきた。大きすぎるペニスが、電柱のように股間にそびえている。彼はその根元を握り、あたしのことを見てニヤニヤ笑った。何らの暖かみも愛情もない笑い顔。邪悪さだけ。彼は、その邪悪な本性を隠そうとすらしない。
もちろん、あたしには、そんな表情を見なくても、彼が何者で、どんな本性の人間であるか、知っている。それは、この数か月にわたる経験で、痛いほど心に叩き込まれてきている。
「お前は、いつでも好きな時に俺から離れて行っていいのだよ」 彼のザラザラした声があたしの耳をこすった。「お前はちゃんと分かってるはずだ」
そう、あたしは離れることができなかった。それをあたしは知ってるし、彼も知っている。いくら、そうじゃないと言葉で否定しても、それは無意味だった。彼がにじり寄ってくるのを受け、あたしは挿入に備えて身構えた。彼の顔は歯を剥き出した笑みに変わり、あたしは、次に起こることから気を逸らそうと、唇を噛んだ。今すぐ体を起こし、立ち上がりたい。そして、できるだけ遠くに走り逃げたい。心ではそうしたいと思っているのに、あたしは、そうしない。自分から両脚を抱え、広げたままにして、彼が入ってくるのを待っていただけ。
彼のペニスがあたしのアヌスを軽くこする。その瞬間、あたしは快感の震えた声を漏らした。ああ、この瞬間が憎らしい。そして、この瞬間がない人生が想像できないほど、この瞬間を喜んでいる。そして、この後に必ず起こることへの期待が膨らむ。彼があたしの中に入ったあの感覚を早く感じたい。それを感じずにはいられない。どうしても、あれを感じたい。早く。それがあたしにとってのすべて。
かつては、そんなではなかった。彼があたしの人生に割り入ってくる前、あたしがどんな人生を送っていたか、今はほとんど覚えていない。でも、あたしが男だったことは知っているし、彼をぞんざいに扱っていたことも知っている。彼の行為は、一種の復讐なのだ。何もかもが復讐。あたしを女性化したことも、彼への依存状態にすることも、あたしのことをセックス専用の人形のように人前を連れまわすことも、そのすべてが、あたしがかつて行った何らかの行為、それも、もはや記憶の彼方に消えた何らかの行為に対する代償なのだった。
そして、今も、あたしのアヌスの入口を擦って復讐をしている。そんな焦らしをしてほしいと、自分で求めたわけではない。その気持ちは、はっきりとしている。彼はわざとそうしている。そうやって、あたしを苦しめたいのだろう。そして、ようやく彼のペニスの先端があたしの中に入ってくるのに合わせて、それが良い方法なのだと、あたしは思い知らされる。
悔しい気持ち。辱められている気持ち。なされるがままにしかできない気持ち。モノとして扱われている気持ち。自分には自由意思がない。あたしは自分から行動することができない。あたしは、彼が望む存在にしかなれない。彼が何を望もうとも、それになるほかない。それもこれも、あたしは、そうされることが好きだから。小刻みに突かれ、徐々に深度が増してくる。その度に、体内に多幸感が湧き上がり、血管を通して体の隅々に運ばれていく。この感覚が憎らしい。彼に中を広げられ、深々と貫かれる。心を麻痺さえる快感。それが憎らしい。あたしが上げるエクスタシーの叫び声が、この洞窟のような部屋の四方の壁に反射して響き渡る、その音が憎らしい。
恥辱と苦痛と快感が混じりあい混濁していくのを喜びながら、あたしはすすり泣きを始める。あたしは、これがどんなに屈辱的であっても、永遠に続けられることを知っている。あたしはここから逃れることはできないことを知っている。そして何より、あたしは自分がそれを欲していないことを知っている。
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