The Mother's light 「マザーの光」
「えっ、マーク! マークなの?」
「今のあたしはフラワーよ。あなたもマザーの光を浴びに来たの?」
「え、何? 違うわよ! あたしはあんたを家に連れ帰るために来たの! あんた、あの物語を書くためにここに来たんでしょ? なのに何ヶ月も音沙汰なしで。早く荷物をまとめて……」
「荷物なんかないわ。全部、マザーのものになってるから」
「何の話をしてるの? それに、訊きたいとも思わないけど、何で裸になってるの? それに、その……そのカラダになってるのは何でなの? 一緒にあの橋を渡って家に戻るのよ!」
「家ならここがあたしの家。それに、ここでは秘密は一切ないの。マザーは不誠実なことは一切認めないのよ。何か知りたいことがあるなら、気兼ねなく訊けばいいの」
「訊く? いいわ。じゃあ、どうしておっぱいがあるのよ? どうして服を着ないの? それに一体全体どうして、あんた女のような体になっているのよ?」
「あたしたちみんな、マザーのお姿にあやかった体になっているの。あたしも含めて、ちょっと下のところで特別に違う人もいるけど、でも、みんな、できるだけすべての点でマザーの姿を真似しようと努力しているの。あたしたち、みんな裸で生まれてきたわけでしょ? だから生活するときも裸でいるのよ」
「何てこと……あんた気が狂ってるわ。違う? ここの人たち、あんたをキチガイにしようとしてるのよ」
「あたしはマザーの光を見たの。あなたも、すぐにね。みんな見たもの」
「な、何ですって? 何の話しをしてるの? な、何で……なんで……あたしに何を……何をしたの?」
「別に何も。マザーはあなたが眠って欲しいと思ったの。だから、あなたは眠ることになる。あなたは、目が覚めたら、マザーの光への旅を始める。最初は痛いかもしれないけど、その痛みをこらえる価値があるわ。約束するから」
「で、でも……あたしは……」
「お眠りなさい、マザーの新しい娘よ。ぐっすりおやすみ。きっといいことがあるから」
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