A changing marriage 「変わる夫婦関係」
「準備オーケーだよ。この新しいリングを買ったんだ。これがあれば、充分長く勃起してられると思うよ」
「あたし、その気分になってないの」
「ええ? 何言ってるの? ボクの問題を解決できると思ってこれを特別に買ったのに、今になって、したくないって……」
「あたしは、その気分じゃないって言ったの。その件に触れないでおいてくれる? 口論したくないのよ」
「また、ボクが太ったことについてだよね? 病院に行ったら、お医者さんにホルモンバランスの問題にすぎないって言われたって話したよね? そのための薬も飲んでるから、2週間くらいで直るはずだって」
「太った?……ええ、まあ……あたしたち、そういうふうに言ってたけど」
「他に何て言うの? それに、ボクは、キミがちょっと体重が増えても、バカにしたりしたことないよね? 太ってもいつも通りにボクはキミを愛してる。なのに、立場が変わったら、キミはまるで、世界が……それにボクたちの夫婦関係が……終わりに差し掛かってるように振る舞ってる。それってまるで……」
「太ったとかじゃないわよ、トミー! もっと言えば、あなた、この半年で体重を減らしてるわ。そのかわりに胸が大きくなっているじゃないの! 今はあたしの胸より大きくなっている。あたしよりずっと大きく! 何が起きてるか、喜んで話したい人間がどうしてあたしだけなのか分からないけど、でも……でも、あたし、気が狂ったような気分だわ。あなたは、もう、そんな体になってしまったし、それに……あなたのアレが、もう、ほとんど役立たずになってしまったばかりか、あなたは髪を伸ばして、お化粧までし始めている! あたしたちが公けの場所に出ると、会う人みんな、あたしたちのことをレズビアンのカップルと思ってるわよ!」
「また、その話? もう、キミってすごく支配的だよね。どんなに頑張っても、ボクはキミにとって満足のいく夫になれっこないんじゃない? 最初は、体重のこと。次は髪の毛のこと。古臭い男女イメージだよね? どうでもいいけど。そしてキミは今度はボクのお化粧のことに文句をつけてる。次は、服装についてもボクをコントロールするんだろうな。それとも、人付き合いについてかな? 誰だれとは付き合ってもいいけど、誰だれとはダメとかって。なんだか、キミは、ボクの人生のありとあらゆる細かい点についてまで支配しない限り、幸せになれないと思ってるように感じるよ」
「そんな……そ、それって、全然、実際の事実と違う。あなた分かってない……」
「事実はどうでも、それが実感なんだよ」
「あたしはただ……ただ、心配してるだけなの。いい? あたし、あなたのことが全然分からなくなってる感じなのよ」
「単に、ボクがキミの抱く夫の姿に合わないからといって、ボクが男らしさを失ったことにはならないんだよ。その点はしっかり覚えておいて欲しいな」
「ど、どこに行こうとしてるの?」
「まずは、着替えをするつもり。それから、出かけるつもり。お友達とダンスをしに行くの。今夜は帰らないから。できれば、明日までには、キミはどうしたいのか考えをまとめておいてくれるといいけど」
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