Knowing Better 「分別はある」
「本気で言ってるのよ、ブレント。これは手に負えなくなってる。みんなに本当のことを言わなきゃダメ」
「なんでボクがそんなことをすると思うの? 今までのところ、だいたい上手くいってると言っていいんじゃ? あと、たった2日だよ。そうしたらボクたち家に帰って自由にやってけるんだよ。誰にも何も教える必要なんかないよ」
「でも、後で、あなたのお母さんがあたしのことについて訊いたら、どう言うつもり? 別れたとか? お母さん、自分の昔のウエディングドレスをあたしに着せたいって、文字通り、懇願してるような勢いだわ」
「それって、母がキミを気に入ってるということだろ?」
「それは分かってる! そこが重要なところなの、ブレント。お母さんはあたしを気に入ってるし、あたしもあなたのお母さんが好き。姉さんたちも。お父様ですら好きと言っていいわ。だから、あの人たちに嘘を言い続けるのはイヤなの」
「でも、キミがボクのためにこれをするのに同意してくれた時、どういうことになるか、キミも分かっていたよね? それに、ボクのうちの人たち、実際は本当にバカな連中なんだから」
「それは分かってる。それに、あなたにとって、このことがどれだけ大変なことかも理解しているわよ。でも、事態は変わったのよ」
「ほんとに? ボクが見るところ、キミは、ボクと同じくらい、このことにどっぷり関わってると思うけど? あのねえ、ボクのうちの人たちに、本当のことを話したら、あの人たちがキミのことを受け入れてくれると、本気で思ってるの? キミはそんなにウブじゃないと思うけど?」
「あたしは別に……」
「ボクがパパのことについて言ったこと、覚えてるよね? ボクがゲイだって噂を聞いた時、父がどんなことをしたか、話したよね?」
「ええ」
「じゃあ、あの人がドレス姿の男に、たとえ、どんなに可愛くても、どんなことをするか想像できると思うけど。もし、突然、ボクのフィアンセが実は偽物だとバレたら、どうなるか?」
「そんなに悪そうに思えないけど。あたしには、あなたの父親が何かするなんて信じられない。正直、優しそうなおじさんとしか見えないもの……」
「優しそうに見えるおじさんであるのに加えて、金庫にはたくさん銃を保管している人なの。そして、銃を使えば事態を解決できると思えば、躊躇なく、それをボクとキミに向けて使うのは間違いないとボクは思ってるけど? あの人は性差別主義者なの。根っからのクソ野郎。キミにそれが見えていないのは、単に、今のところ父はキミのことをノーマルだと思っているから。でも、キミとボクはどう? ボクたちはノーマルじゃない。ボクはオカマ野郎だよ。そして、キミがどんな人だろうが関係ない。キミがボクの彼女として周りを納得させられそうな演技ができそうな友人にすぎないことなど、父には関係ない。キミが完全なストレートの女の子であることなども、父には関係ない。少なくとも、キミは共犯になっているんだよ。あの人たちのことはボクがよく知っている。知ってるからこそ、あの人たちがボクの正体を知ったとき、どんな行動をするか恐怖を感じているんだよ。もうお葬式は済ませた。今は、亡くなった祖母の遺言の発表のためだけにここにいるようなもの。それが終わったら、このことは全部忘れ去ることができる。キミもおカネがもらえるし、ボクも普段の生活に戻れる。それが取引だったよね?」
「分かってるけど……」
「『けど』は、もうナシ。こういうふうにすべきなの。ボクを信頼してくれる? 信頼してくれるだけでいいから」
「い、いいわよ。オーケー。でも、あたしには、あなたは間違ったことをしていると思う」
「でも、ボクは、あの人たちが良い人たちだと信じるよりは分別があると思ってるけどね」
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