「窓ふき」 Cleaning Windows by PMDlite
出典多分、僕は、ロックダウンの前に100回は彼女とすれ違っていたと思う。だが、野球帽とサングラスとマスクの女性を見ても、記憶を喚起するのは無理だろう。2メートル以上離れたところから見て分かることは、彼女が素敵なカラダをしてることと、マンションのロビーを歩く姿が滑らかだったということだけだった。エレベータが着き扉が開いた。僕はマスク越しのくぐもった声で「どうぞ、おひとりで」と言った。
「ありがとう」 と彼女は言い、エレベータに乗った。「すぐにお返しするから」 扉が閉じ、エレベータは上がり始めた。
この1週間で人と接触したのは、これくらいだった。今はパンデミックなのは分かってる。ウイルスを死滅させるか、我らが科学者たちに治療法を見つけてもらえるように、僕たちは人との距離を保つ必要がある。でも、人が恋しい。こんなことを言うとは思ってもみなかったけれど、ああ、確かにそうだ、人との接触がないのが寂しく感じている。まあ、この接触は、僕の午後の日課になってしまったオナニーにちょっとだけ刺激を加えてくれるかもしれないけど。ちょっとポルノを見るだけでも刺激にはなるけど、マスクをした女性っていうのは、新しい妄想ネタとしてはいいかもしれない。そうだよ、これって良い変化になるかもしれない。
エレベータが戻ってきて扉が開いた。彼女が乗ったエレベータは5階で止まったから、僕の1階下にいるのか。彼女の家の窓が見えるか、確かることにしようか。
このマンションの建物はU字型をしている。だから建物の3分の1は、もう一方の3分の1が見える形になる。残りのU字の丸い部分というか底辺部分には、エレベータやトラッシュシュート(ごみを集積所に落とすところ)やユーティリティがあるので、住民は主に対面する2面に住んでることになる。運がいいのか、彼女の家は僕の家の正面だった。ロックダウンの前までは、対面側の家はまじめにチェックしていなかった。そもそも、たいてい、カーテンをされてて見えなかったし。照明がついてるかどうかくらいしか分からなかった。まして、どんな人が住んでるかなんか、見られるわけがなかった。
自分の家に入り、キッチンに買い物を置いた。新記録だ! 基本食材に加えてペーパー・タオル2つとトイレットペーパー2セット!
それを片付けた後、窓際に行き、1階下の家をチェックした。頼むぜ、その階なんだろ?リトル・ヘンリーには新しい刺激が必要なんだよ。
ああ、そうだよ。僕は自分のペニスに名前を付けている。でも、あいつの名前を知ってるのは僕だけだ。バカっぽいけど、なんだよ、構わないだろ?
カーテン、閉まってる。閉まりっきり。あっ、ちょっと開いた……けど、ダメだ。運がない。
視界の隅で何かが動くのに気づいた。3つ目の窓だ。カーテンが揺れている。その窓に神経を集中させた。よし、確実に動いてる。猫はやめてくれよ、あのマスク女であってくれ!
また、カーテンが動き、手が見えた。さらにカーテンが動き、あのロビーで見かけた女性が現れた。ああ、ご褒美! サングラスだけはなくなっていたけど、野球帽とマスクは同じ。僕と彼女の間に距離があるので、何とも言えないけど、彼女はまっすぐに僕の方を見てるように見えた。
「ヤバい!」 身を隠すべきか? このままでいいのか? こっちから見えるということは、向こうからも見えている。彼女は多分、超「正義の味方」に「6階にいる変態」について通報するだろう。僕は、じっとして動かず、彼女の部屋を見ていた。動くとかえってヤバいと思ったから。でも、見続けてるうちに、体の中にじんわり温かいのが広がってきて、僕のリトル・ヘンリーにもじわじわと変化が出てきていた。
僕は、窓際に留まっている彼女をずっと見続けていた。(少なくとも僕にとってはだけど)明らかに彼女は僕が彼女を見ているのを見ている。僕は、マスクを外してみせた。彼女も同じことをするかもしれないと思って。彼女は手を顔のところに持ち上げ、指を一本、マスクの真ん中のところ、唇に近いところにあてたけれど、それっきりで、向きを変えて部屋の奥に入ってしまった。
「多分、ショーはこれでおしまいか……」 そう呟きながらも、ひょっとしてそれは間違いかもと期待しながら僕は窓際に留まっていた。そして、実際、それは間違いだったのだった。しばらくすると彼女は窓に戻ってきて、窓枠の下のところに何かを置いたのだった。僕からはそれが見えなかったが、その後、彼女はまっすぐに立ち、ジャケットのチャックを降ろした。ジャケットは両肩から滑るようにして、床に落ちていった。その後、彼女はいったん背伸びをし、今度は両手を胸のところにあてがった。そして、その両手を左右の胸のあたりに動かし始めたのだった。格子柄のシャツの上からマッサージするような感じで。「どうやら、ショーは始まったばかりのようです……」 別に聴衆がいるわけでもないのだが、そんなことを言っていた。
彼女は、マスクを着けたまま、その行為を続けた。そして、ゆっくりとブラウスのボタンを外し始める。ひとつずつ、ひとつずつ。全部外し終わると、ブラウスの裾をジーンズの中から引っ張り出した。すると自然と前がはだけ、中のブラが見えた。当然、僕の視線は彼女に集中。この建物が火事になっても、僕は気づかなかっただろう。いや、僕の部屋が火事になっても、僕は気づかなかっただろう。
だが、その後、彼女は窓に背を向け、またも僕はショーが終わるのかと心配になった。でも、それは杞憂で、彼女はこちらに背を向けつつも、ジーンズのベルトを外し、前のチャックを降ろしてるところだと分かった。僕のリトル・ヘンリーは目を覚ましたどころじゃなく、僕のスウェットパンツの中で急速に成長していた。パンツがだぶだぶなのはリトル・ヘンリーには幸いだった。成長するための空きスペースがたくさんあったから。「少ししたら、お前の面倒を見てあげるから、それまで待ってるんだよ……」
ジーンズが、前かがみになってる彼女の脚を滑り落ちるのが見えた。お尻にはシャツの裾がかかってる。もちろんパンティを履いていた。普通のデザインの下着。でも、すぐに彼女が体を起こしたので、一瞬しか見えなかった。
その後、彼女は再び向きを変え、僕の方に顔を向けた。僕は思い切って、危険を冒しつつも、彼女に見てることを伝えようと思い、小さく手を振った。そして、拍手をするような手つきで両手を合わせた。
僕の全神経を独り占めしてる彼女。やはり彼女は僕に気づいていたようだ。こっちを見ながら軽くお辞儀をし、それから背中に手を回した。熟練した手つきでブラのホックを外し、その後、かすかに体をくねらせつつ、あの、はるか昔から男たちを魅了してきた動きをし、シャツを脱がずにブラジャーを外したのだった。彼女は、まるで奇術師がマジックをして見せた時のように外したブラを片手に掲げて見せた。その時、シャツの前がかすかに開いたけれど、見えたのはシャツの中のミルク色の肌と格子柄のシャツの下に隠れたままのパンティだけ。
見ていると、彼女はブラを床に落とした後、僕の方に手を向け、どうぞと言う感じで手をくるりと回した。「今度はあなたの番よ」と言うように。
少し顔が赤くなるのを感じた。あれだけ離れているので、僕が赤面したことは見えなかったと思うけど、それでも顔が熱くなるのを感じた。それに、ペニスも完全に勃起してくるのも。アソコは窓の下だから、このアカラサマな勃起が彼女に見えてるとは思えなかったが、正直、僕は彼女に見えていても構わないと思っていた。
この状況は、自宅待機の隔離が始まって以来、何とか僕が得てきたオナニーネタの中でも最上級のおかずになっていたと言える。確かにポルノはいいけれど、この状況の方がずっとずっとそそられる状況になっている。僕が固くなってるのと同じくらい、彼女も濡れてるのかな、と思った。僕はもうちょっとだけ窓に近づき、シャツをたくし上げ、頭から脱ぎ、胸をあらわにした。それにお腹のぜい肉(
参考)も。ロックダウンのせいで、前よりずっと、座ってる時間が増えたし、チートス(
参考)や他の「慰めの食べ物」を食べることが増えていた。運動しなければと思っているけど、これまでは、運動する動機づけがほとんどなかった。僕のこの愛しい右手からしてみれば,腹のぜい肉なんかどうでもよくて、ペニスさえしっかりしてれば、他はどうでもよかったから。
まあ、そんなことはどうでもいい。今は向かいの彼女だ。彼女に視線を戻した。すると彼女は、僕が胸を出したのを受けて、素早くサムズアップをして見せ、僕にもっと窓に近づくよう合図してきた。そして、パンティの腰ゴムに指を入れ、降ろし始めた。でも、途中でやめて、片手をあげ、僕を指さした。あなたよ、と言わんばかりに指を向けてる。僕にも同じことをやれと言ってるのか!
多分、彼女にも見えてるのかもしれない。それを確かめるために、できるだけ窓に近い位置に移動し、僕もスウェットパンツの腰ゴムに指を差し入れ、降ろし始めた。変わったことをしようとひらめき、僕は後ろを向いて、一気に脱ぎ去り、彼女にお尻を見せた。僕のペニスは直立して天井を向いている。これならよしと、僕はゆっくりと窓側に向き直った。
彼女が視線を向けているのは見える。でも、まだマスクを着けたままなので、彼女の反応を測ることはできなかった。視線を背けたりはしてないから、嫌悪はしていないだろうと思った。僕はおどおどした手つきで、片手をリトル・ヘンリーにあてがい、隠した。リトル・ヘンリーはもはやリトルではなくなっていたけれど。
彼女は降参するような仕草で両手をあげて見せ、それから、またも僕を指さした。彼女は、全裸になるのを求めている。まあ、女性が何かを求めたら、欠かさずして差し上げるべきだ。僕は素っ裸になり、両手をあげて、僕の勃起を見せた。この姿は、意図している人にだけ見せてあげてるものと希望してたが、いや、どうでもよくなっていた。誰か他の人で見たい人がいたら、いいよ、見てくれて構わない! むしろすがすがしい気分だ。僕は、最高レベルの勃起を誇っていたし、後で擦るときがきたら、かなりの量が出るだろうと思った。
彼女は下着に手を戻し、僕と同じように後ろ向きになってパンティを脱いだ。つんとお尻を突き出した。白くて可愛いお尻だった。撫でたり、握ったりしてと叫んでるような可愛いお尻。「うーん……やりたい」と僕は独り言を言った。
めくれ上がったシャツを元通りにし、体を隠す。その後、彼女は窓のところへ近寄り、前かがみになった。さっきそこに何かを置いたのだけど、それを拾い上げたのだろう。そしてそれを後ろに持ったまま再び姿を現した。体を起こすとき、その動きでシャツの前が少し開き、彼女の脚の間の黒っぽい茂みが一瞬見えた。ロックダウンになってから、僕は髭剃りをさぼってきているけれど、彼女も同じようだった。「その茂み、いい感じだよ。それで、何を拾い上げたのかなあ?」
彼女はまるで僕の声が聞こえたかのように、シャツの前を開き、片手をお腹から下の茂みへと這わせ、脚の間のところで指を一本のばして、動きを止めた。そしておもむろに脚を広げた。彼女の指は、明らかに、濡れた割れ目の入り口を指していた。
そして、背中から、もう一方の手が出てきた。ピンク色の筒状のものを握っている。ディルドだった! 彼女は、僕が見てる前で自慰をしようとしているのか! 大当たりじゃないか! このロックダウンの間、性的に解放したくてたまらなくなっていたのは僕だけじゃなかったわけだ。僕は、本能的にこぶしを握った腕を掲げていた。「いいぞ、やれ!」と言わんばかりに。いや、実際、声に出して言っていたかもしれない。
見つめていると、彼女はさらにもう少し脚を広げ、2本の指でピンク色の陰唇を左右に開き、その入り口のところにピンク色の器具を押し付けた。そして、顎を突き出し、顔をそむけるようにしながら、それを中に入れていった。出し入れの動きを始めるのに合わせて、もう一方の手でシャツの前をはだき、右側の胸をさすり始めた。手のひらで覆った後、乳首をつまんでいじり始める。その乳首は固く膨らんでいて、あれを口に含んだら、どんなに気持ちいいだろうと思わざるを得ない。
僕は僕で、ペニスを握り、しごき始めた。竿の根元から頭までゆっくりと。先端部分は湿っていて、先走りで覆われていた。1回のストロークで絞り出されていたのだろう。その後のストロークのためにちょうど良い潤滑を与えてくれていた。手は勝手に動き続けた。意識は、中庭を挟んだ反対側でのショーに集中している。ピンク色の器具が、まさに、僕の分身がやりたがっているコトをしている。あの温かそうで濡れた部分の奥にぬるっと滑り込んでは、ゆっくり出てくる。その繰り返し。彼女のその部分がヒクヒク動くのをじかに感じる。自分もヒクヒクと反応し、やがて、彼女の奥深くに思いのたけを放ち、満たす。
明らかに彼女の方も僕と同じく絶頂に近づいていた。彼女が、わずかに背を反らせるのが見えた。目を閉じているようだったし、つま先立ちになっているようにも見えた。自分の体を支えるためにか、片手を窓ガラスに押し付けた。もう一方の手はディルドを握り、どんどん出し入れの速さを増している。
そして、突然、その動きが止まった。棒を中に入れたまま、じっとしている。いや、ぶるぶる震えているようだった。がくんと頭を倒し、うなだれたかと思うと急に顔をあげる。マスクをしたままだけど、彼女の喘ぎ声や、短く乱れた息遣いが聞こえるようだった。絶頂に達した彼女。なんて美しい姿だろう。
僕もストロークの速度を速め、やがてオーガズムが湧き上がってくるのを感じた。僕は彼女に夢中になっていて、ガラス窓にへばりつくようになっていた。そして、発作が始まる。僕は勃起を窓に近づけ、噴射した白濁がガラスに当たるのに任せた。白いひも状のスペルマが窓に当たる。そして2発目、3発目も。終わったときには窓ガラスはベトベトになっていた。その曇った窓のおかげで、彼女には、射精後、だらりと力をなくしていく僕のペニスを見られずに済んだと思う。ともかく、この1発、多分、ここ数週間のうちで、最高に楽しんだ強烈な瞬間のひとつだった。
顔をあげると、彼女が手を振っていた。そして、カーテンが引かれた。ショーは終わったのだ。まあ、終わったというより、ほぼ終わったと言うべきか。僕はキッチンに行き、ペーパータオルと窓ふき剤を探した。家にこれがあったのは良かった。これからもっと必要になるかもしれない。こういうショーがもう何回かあったらいいなと思っていたのは確かだった。もしそんな機会があったら、このロックダウンによる自宅待機にも、良い点があることになる。彼女の本当の顔は分からないかもしれない。でも、彼女がどの部屋に住んでいるかは知っている。どの窓が彼女の部屋の窓かも。僕は窓を拭いた後、シャワーを浴びに浴室にいった。ソーシャル・ディスタンスを守ることも、それなりに良いことがあるかもしれない。
おわり