「隔離への順応」(5)
「き、キミの……キミの何? 何を言ってるのか分からないよ」
「んもう、フランチェスカったら。あなた可愛くて運が良かったわね。可愛くなかったら、やっていけないかもしれないもの。彼はあたしの彼氏。そんなに複雑なことじゃないでしょ?」
「で、でも……キミはボクの妻なんだよ……」
「あたしはあなたの雇い主。あなたがあたしに雇われた瞬間、夫と妻の関係からは離れたの。あなたも分かってるでしょ?」
「そ、そんな……ボクに対してそんなことをするなんて」
「もう決まったことよ。ポールとは、もうひと月以上デートしてるわ。それに、あたしたち、1年も前から知り合いだったし。正直言って、あなたが気づかなかったことの方が驚き。あたし、別に隠そうとしてなかったのに」
「ボクは……ボクは、キミたちはただの友達だとばかり……」
「頼むわ、フランチェスカ。あなたはちょっと間抜けなところがあるけど、そんなにウブじゃないでしょ? ポールみたいな男よ? よしてよ。あたしが彼を取り逃がすなんてありえないわ。でも、知っていてほしいんだけど、あたしが彼のところに引っ越すとき、あなたも一緒に連れて行くつもり。そうすれば、あなた、失業せずに済むでしょ? それに、どうなるか知らないけど、ポールはあなたの給料を上げてくれるかもしれないわよ」
「彼のところに行く? 本気で……でも、ボクたちまだ……キミはボクの妻なんだよ?」
「確かに書類上はね。でも現実は? あなたはもうちょっと頭いいでしょ? ええ、さらに進んで離婚してもいいわよ。それがあなたの望みなら、そうしてもいいわ。でも、離婚した相手を雇い続けるって何だか気まずいって思わない? ポールもそう思うと思うわ。でも、あなたが新しい人生に向けて変身するのを、あたしも彼も完全に同意してて、手助けしてあげようって思ってるの。それに、あなた、本当に有能なメイドになってるでしょ? あなたの代わりに別の人を訓練するなんて、考えただけでうんざり」
「でもボクは……ボクは……」
「それにどうなるかなんて分からないんじゃない? ひょっとすると、3人一緒で楽しくやっていく道を見つけられるかもしれないんじゃない? ポールは気にしない人なの。彼、あたしがべつの女の子といちゃつくみたいなの、好きそうなのよねえ。だから、もう、バカげた考えは頭から追い出したらいいんじゃない、フランチェスカ? そんな考えは、そのおつむに入れてても、邪魔なだけ」
「う、うん……多分、そう……」
「そうよ。ちゃんと分かるじゃない。分かってくれて嬉しいわ。さ、じゃあ、メイド服を着て。あと1時間くらいで、ポールが来るの。あたし、彼にちゃんと良い印象を持ってもらいたいから」
つづく
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