「わほー!」 と僕は頭の中で叫んだ。
「じゃあ、やって」 とクリスタル。
僕は、彼女のブラウスの上のところから少し手を挿しこんだ。ボーイ・スカウト風に敬礼するときの手つきで、指を3本使って、ブラシで色づけした部分の輪郭を擦った。小さく円を描くような動きで、クリスタルの胸の内側をマッサージしながら色を伸ばしていく。クリスタルはただ僕の前に座って、僕がするのに任せている。それに彼女の夫のボブも僕の前に座って見ている。1分かそこら、そうした後、僕は手を止めて、一旦引き下がった。
「うん、ずっと良くなった」
と、大きな声で言ったけれども、もちろん、僕は、前との違いが分かっているわけではない。でも、何か言わなければならない状況だった。それはみんなも分かるよね?
僕は彼女の周りを歩き回って、さらに12枚くらい写真を撮った。基本的に上から胸元を見下ろす写真。僕はクリスタルに、腰をひねらせたり、くるりと回ったりとポーズを取らせた。その時の姿勢で、ひょっとすると、どっちかのサイドから内側がもっと見えることがあるかもしれないと期待してたから。そして、実際、期待通りに内側がはだけて見える瞬間があった。
パシャッ! パシャッ!
実際、僕のメイキャップの効果で、彼女の胸の谷間が強調されて見えているように思えた。確かにかなりセクシーな写真になりそうだった。
「私、このメイキャップしての撮影、気に入ったわ」 ある時点で、クリスタルが、誰に言うともなく言葉を発した。僕たちは3人とも声に出して笑った。
この時には、すでに、僕の持ち出したワインのボトルも空になっていた。
「僕が店に行って買ってこようか?」
ボブがそう提案し、僕も賛成。それにクリスタルも賛成した。
「多分、10分くらいで戻ってくるから、撮影は続けてくれよ」
ボブはそう言った。僕はポケットに手を入れ、10ドル札をボブに投げた。ボブはワインを買いに出かけ、玄関のドアが閉まった。彼が出ていった後、クリスタルが言った。
「あのね、私、ボブに彼が求めているものをあげたいと本気で思っているの」
それは僕も同感。
「私、恥ずかしがり屋だけど、だからと言って、色気がないということにはならないでしょ?」 横目で僕を見ながら続ける。 「正直、私、結婚する前は、私のことを出会った中で一番セクシーだと言ってくれたボーイフレンドが数人いたのよ」
その言葉、信じられると思った。今の彼女の姿は、僕が、あの恥ずかしがり屋でおとなしいクリスタルに期待していたものをはるかに越えていた。僕は彼女のことをそれほど知っていたわけではないのは明らかだった。だが、これからもっと彼女のことを知るようになりそうだというのも、明らかだった。
「えーっと、ボブは、欲しい写真は、スカートの中が出てる写真だと言っていたんだ。やってみる気がある?」
僕は、肯定的な答えが返ってくるよう祈った。
「まあ、ボブが欲しがっているなら、ぜひ撮らなくちゃ」