妊娠が確実になったすぐあと、カレンはWイェックスを摂取するのを止めた。というのも、僕は吐き気や疲労感、それに乳房が極度に敏感になり、全然セックスをしたい気持ちがなくなっていたからである。これは妻にとっては拷問だった。Wイェックスを摂取することにより性欲が増加するため、彼女は一日中、非常にムラムラした気持ちになるのに対し、僕の方はその気がまったくなくなったからである。彼女がWイェックスの摂取を止めるのは当然のことだった。彼女はすぐに以前の女性の体に戻った。
しかし、3ヶ月ほど過ぎた頃になると、吐き気も疲労感も消え、乳房も普通に敏感な程度まで落ち着いてきた。そして、それに伴って、僕の性欲も、それまでの欠如に対して復讐するかのように激しく戻ってきたのだった。
そして僕は女性の体になって初めて自慰をした。片方の手の指でクリトリスを擦り、もう片方の手の指をあそこに出し入れする方法で。ああ、確かに、イクことができた。でも、何かが足りない気分だった。
カレンが仕事に行っている間、両手をせわしなく動かして欲求を晴らしてはいたものの、ますます不満が蓄積してしまう。それを何日か続けた後、僕は家の中をあっちこっちひっくり返しては、カレンがどこかにディルドっぽいものを隠していないかと探し回った。だが、何も見つからなかった。どうしても指だけでは物足りない。何かに貫かれなくては満足できない。
かすかに膨らんできたお腹が隠れるようにゆったりとしたトップを着て、ハンドバックを持ち、僕は近くの成人向けショップへと出かけた。
そういう場所には前に行ったことがあるが、そこで売っている様々なディルドには一度も注意を向けたことがなかった。でも、今は体内のホルモンが猛り狂っているせいか、その売り場は、貴重なお宝が壁いっぱいに陳列されるようにしか見えなかった。
ひと通り見て歩き、カレンが脚の間に備えていたものに近いものを見つけた。と同時に、別の物も目に入った。円筒状の容器に梱包されたWイェックスだった。タイプと持続期間で分類され、陳列されていた。
それもひと通り眺め、やがてひとつに注意が向いた。ブルー・Wイェックス7・ライトという商品。7日間はペニスが持続するタイプである。僕はそれを掴み、レジへと向かった。ディルドの方も手に持ったままだった。
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