もちろんグラニーには牙があるし、涎れも垂らすので、レスリングの勝負は彼の勝ちに終わったが、僕たち4人で彼をシーツにくるみ、寝室から引きずり出し、やっとのことで締め出した。4人とも最終的な勝利を得て、誇らしげにベッドへと行進し、みんなで固まって抱き合った。
30分くらいそうやっていたが、やがて女の子たちはお腹がすいたと言い始めたので、朝食を食べに食卓に移動した。午後2時になると、ブリイは予定があると言った。だが、どんな予定なのかは言おうとせず、ただ、みんなを車に乗せて、地方裁判所へと向かったのだった。
「何か裁判があるのかな?」と僕は彼女に訊いた。
「ええ。あたしが担当してきた中で、一番難しい裁判だわ」と彼女は笑った。
ブリイは僕たちを連れて中に入り、法廷のひとつに案内した。法廷に入ると中には治安判事がいた。「準備は整いましたか?」と彼は訊いてきた。
「何の準備?」と僕は訊き返した。
ブリイは床に片膝をついて、ハンドバックの中から小さな箱を取り出した。
「マック、もう一度、あたしと結婚してくれる?……今度は、死ぬまで夫婦でいると約束する。前回もそう約束したけど、でも、あたしがずっとあなたを愛し続けているし、あなたの妻でありたいと思い続けているのは知っているでしょう? あたしが愛したのは、そしてこれからも愛し続けるのは、あなただけ。マック、お願い、あたしと結婚して」
彼女の箱の中には、婚約指輪に加えて結婚指輪も入っていた。「ブリアナ、本気なのか?」
「これまでの人生で、こんなに自分の判断に自信があったことはないわ」と彼女は言った。そして女の子たちに向かって声をかけた。「ふたりとも、あたしを助けてくれない? 彼、頑固になってるの!」
「そうだよ、お願いよ、マック」とふたり声を合わせて訴えてきた。「ブリイは本当にあなたを愛しているよ。あたしたちもマックを愛してるし、ブリイも愛してる。みんなで家族になりたいの」
もちろん、僕に反対などできるわけがない。婚姻の手続きが完了するのに10分程度しかかからなかった。
裁判所を出ると、ブリイはお祝いをしようと素早くこのレストランへと僕たちを連れてきた。新しく開店した、彼女が知っているギリシャ料理のレストランである。僕は、自分の人生が花開くのを目の当たりにしている気分だった。世界で一番ゴージャスな女性を妻にし、毎夜、ベッドを共にすることになる。素晴らしい娘がふたりもいて、それぞれがこれから急速に美しい女性へと成長していくのだろう。それが楽しみにならないはずがない。本当にそんな人生を送ることができるのだろうか? 時が経たなければ分からない。
マギーとストークリーの養育権を得るには1ヶ月ほどかかった。ブリイはそれを実現するために献身的に動いてくれた。そしてとうとう、僕とブリイがふたりの親となったとき、マギーとストークリーは世界で一番幸せそうな女の子になったし、僕とブリイは世界で一番幸せなカップルとなった。ブリイは自分のコンドミニアムを売却し、僕の家に引っ越した。