Rehabilitation 「更生」
「キミ!」と僕の前に立つ女の子が言った。というか、少なくとも女の子だと思った。でも、脚の間にぶら下がるペニスと、歴然と胸がないことが、それは違うと物語っていた。「キミは新しく来た人ね。じゃあ、ちゃんと聞きなさい!」
「ここはどこ?」と見知らぬ場所で目が覚めたばかりで、混乱した頭で僕は訊いた。ふと、自分がこの女の子と同じく全裸でいることに気づいた。「ぼ、僕の服はどこ?」
「服がないと気になるだろうけど、それは忘れることね。もうずいぶん前から……」
「な、何がどうなってるのか話してくれ」 僕はパニックになっていた。最後に覚えていることは、くらすめーとにセクハラで訴えられて裁判所にいたこと。でも待てよ……その後、もっと他のことがあったよなあ。記憶がぼんやりしてるけど、少しずつ戻ってくる感じだ。
「記憶は2週間くらいで戻るでしょ。でも、その頃までには、多分、自分が何でここに来ることになったのか思い出したくもないって気持ちになってるわよ」
「ぼ、僕は何もやってない」とつぶやいた。「あの女が嘘をついて……」
実際、僕は、判事が僕の見方で判断するだろうと充分確信していた。何だかんだ言っても、僕の元カノのあの女には証拠がなかったのだから。それに比べて、彼女が話し合いをしたいから家に来てと僕に言ってきた時、何かが起きるなって思った僕は、すべてを録音していたのだから。彼女が僕を攻撃しようとするところまですべてを録音してたんだから。
「それが真実なら、本当に気の毒に思うわ。でも、どうしようもないわよ。ここにいる人はみんな、自分から選んでここに来た。刑務所に入れられるのを避けたいと来た人もいれば、恒久的に残る履歴に自分がしたことが残るのを避けたいと思って来た人もいる。でも、理由が何であれ、みんな自分で選択してきたの。あなたと同じくね」
ぼんやりとだけど、裁判に負けたこと、そして、刑務所に行くか、それとは別の、より実験的なプログラムを受けるかと問われ、自分は後者を選んだらしいことを思い出した。でも、その他の詳細は全然思い出せない。
「ここは……この場所は何なんだ?」
「あなたのお家。これから1年半はここがあなたのお家。ついてきなさい。案内するから」
向こうを向いて歩きだす彼女の上腕をつかんだ。彼女は振り向いた。
「待ってくれ。お願いだ。この場所が何なのか教えてくれ。僕に何が起きたんだ?」
彼女はため息をついた。「いいわよ。でもね、知ったからと言って、楽になるわけじゃないからね」
「お願いだから……」
「ここは、性犯罪で訴えられた男性のための、刑務所に代わる更生施設。セクハラとかでの民事訴訟に関しても、選択肢として使われてるわ。ここでは、あなたは女性へと強制的に変身させられる。最初の6ヶ月で肉体が改造される。次の6ヶ月は、女になることの学習に費やされる。そして最後の6ヶ月は、あなたが悪事を働いた相手が誰であれ、その人への性的奉仕に費やされる。今のあたしは、その段階。あたしの女王様は、あたしを裸で歩き回らせて喜んでいるの」
「そんなことって……そんなこと、ありえない」
「あり得るのよ。それに、ここを卒業できたとして、その時にはあなたはおっぱいができてるわ。その後は女性として実社会に戻って、この社会のより生産的な一因となるわけ。じゃあ、ついてきて。まずはあなたの登録から始めましょ」
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