次にジャネットがクリスを見かけたとき、クリスは屋外に出て、新鮮な空気にあたりながら立っていたところだった。ジャネットは彼に近づき、話しかけた。
「中は、ちょっと蒸し暑いわよね」
クリスはびっくりして、跳ねとび、手に持っていたコーラをこぼしそうになった。実際、少し跳ねたコーラが彼のシャツについていた。
「ごめんなさい。驚かすつもりはなかったのよ。うふふ」
ジャネットは笑いながら,ナプキンを手にクリスのシャツに付いたコーラを拭き取った。
「今夜は、屋外のこの場所がとても気持ち良いです」
クリスは、不器用にうろたえた恥ずかしさから立ち直った後、ジャネットに返事した。
「ええ、そうね。音楽もとてもいい感じだし」
パティオに設置されているスピーカーから流れてくる、落ち着いた音楽のことについて言った。
「あのスピーカーは僕が2年位前に設置したんです。母の誕生日があって、そのびっくりプレゼントとして。母は、ここに座って、陽が沈むのを見るのが好きなんです」 クリスは自慢げに説明した。
「そうなの・・・でも、せっかくの音楽を無駄にするのは良くないわ。一緒にダンスでもどう?」
ジャネットは衝動的に、この若者の腕に抱かれたいと感じたのだった。今夜は誰かに求められたい。たとえ、相手が自分の息子と言ってもおかしくないような若者であっても。
「あ・・・でも、僕はあまりうまくないですが・・・」 クリスは、そうは言ってもジャネットが気持ちを変えないようにと期待していた。
「そんなことはいいのよ。私も、もう何年も踊っていないもの。多分、お互いに足を踏みあうんじゃないかしら」
ジャネットはそう言って、自分の手にしていた飲み物とクリスの飲み物を取り上げ、テーブルに置いた。それからクリスに両腕を開いて見せた。
クリスは足を踏み出し、ジャネットに近づいた。そのとたんに、彼女の甘い香りの香水に包まれるのを感じ、続いて彼女の両腕に包まれるのを感じた。音楽に合わせて、パティオを動き始める。クリスは、あまり強く体を押し付けないようにと細心の注意を払っていた。だが、むしろ彼女の方が自分に近づき、体を押し付けてくるのを感じた。彼を包むジャネットの両腕に力が入り、胸板に彼女の柔らかな胸が押し付けられるのを感じた。ジャネットが頭を彼の肩に預けるのを感じたとき、クリスはすっかり夢中になってしまったと悟った。やがて、興奮してくるのを感じ、クリスはそれが知られるのを恐れた。だが、腰を引こうとすると、それに抗うように、ジャネットの太ももが脚の間に押し付けられるのだった。
このときも、ジャネットは、自分がこの若者に何をしているか、はっきりと自覚していた。この若者が勃起を始めている事実を知覚するチャンスを逃せない気持ちだった。このようなことはすべきではない。それは知っていたものの、アルコールで麻痺した彼女の脳のため、このくらいは構わないと思わせていた。ちょっとした、無害な焦らしに過ぎないわ。ジャネットは自分にそう言い聞かせ、両手をクリスの首に絡め、彼に体を密着させて、互いに揺れあった。
クリスはどうしてよいか分からなかった。もし体を離したら、自分が勃起していることが、彼女にばれてしまうのは確かだった。その一方で、彼女は自分でしていることについてほとんど疑念を持っておらず、確信して行っているのかもしれない、とも思っていた。すでにすっかり勃起していた彼のペニスだが、彼女が腰骨を使って、わざとその勃起を擦っているのを感じていた。ジャネットはお酒に酔っているのだから、このような行為をしても許されるかもしれない。だが、自分の場合は、何か行動をした場合、何の言い訳も効かないだろう。とは言え、クリスは、活発なホルモンを備えた若者であるのも事実だった。