私は引き続きアンドリューに質問した。「さっき、あなたは、その新しいOSとかいうの、売り出したいモノのひとつだって言っていたわよね? ということは、もうひとつは何?」
「それは今夜、もう少ししたら見ることになるよ。30分くらいで、デモを見せられると思う」
まあ、そうね。2つ目の製品を見てみたら、ひとつ目の製品の価値についてヒントを得られるかもしれない。
今度はエマに顔を向けて訊いた。「エディとイディが何をしてるかは分かったわ。それに、エレは財務関係を担当ということよね? でも、エマ、あなたはどんなことを計画してるの?」
「アメリカ合衆国の大統領になるつもり」
私は笑い出した。「まあ、小さな女の子にしては、すごく大きな夢ね」
アンドリューがちょっと苦笑いした。「いや、その子にとっては、そんなに大きな夢というわけじゃないよ」
エマは父親に笑顔を見せた。「年齢制限を変える方法を見つけたらだけど、大統領になれと言われたら、次の選挙でなれるわ。共和党は、自分たちだけがタッチスクリーンの投票装置を設置できると思ってるけど、いずれ、あの人たちびっくりすることになるんじゃないかな」
私は愕然としていた。この子が大統領? 投票装置の設置って、何の話しなの?
奥さんのひとりが口を挟んで、この話題を止めさせた。「エマ? ディナーでは政治の話しはしないってことになっているでしょ?」
「ベッドでもね。そっちのことは忘れたの?」とエマが口答えした。
アンドリューもエマの話しはもう充分だと思った様子だった。「まあ、それでディナーは終わりってことになるかな? じゃあ、デザートの代わりに、ポップコーンとジュースを手に映画でも観るっていうのは、どうかな?」
映画
ジェイクと私は奥の部屋へと移動した。アンドリューとふたりの妻たちは、食卓の後片付けをしている。Eキッズたちも、それぞれ、後片付けで担当する仕事があるようだ。
ジェイクと一緒にカウチに腰を降ろした。この部屋は、多人数に対応できるようになっているのは明らかだった。この家族は大家族なのだから。ジェイクとは、ここに来てからほとんど会話をしていなかった。もちろん、私は、彼の話しに興味がないわけでは決してない。