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デス・バイ・ファッキング 第17章 (11) 

「ジェイク? あなたは法律関係の監督になってくれっていうアドキンズ家の申し込みについて、考えているところなの?」

「分からないんだ。僕がいま稼いでる額の4倍は出すって言ってくれている。でも、僕は元々、正義に燃える「熱血検察官」になりたかったんだ。まあ、現実は僕が抱いていたイメージとピッタリというわけじゃないけど。でも、まだそういうイメージが好きなんだ。何か重要なことをしてるんだって気持ちが」

「でも、この話もかなり重要のように聞こえるけど。やりがいのある大きな挑戦になると思うし、潜在的な力は計り知れないと思うけど?」

「ああ。本当にワクワクするチャンスだと思う。加えて、ドリューが嘘をつくのがありえないのと同じか、それ以上に、アンドリューは嘘をつかないだろう。命にかけても、ここの人たちは信頼しようと思ってるんだ」

この人の南部訛りはすごく魅力的だった。誠実だし、才能もある人のように思えた。誠実さというのは双方向的に作用するのかもしれない。アドキンズ一家は、ジェイクについて誠実だと思わなかったら、そもそも、こういう申し出をしてないと思う。ジェイクについて何か重要なことを知っておかなくちゃと感じた。

「この件について、あなたの奥さんはどう思っているのかしら?」 わざとらしい質問と聞こえていなければいいけどと思いつつ訊いた。

ジェイクは微笑んだ。「いや、僕には奥さんはいないよ。残念ながら。今は、僕が心配しなくちゃいけないのは僕自身だけ」

嬉しい返事。「たくさん出張しなくちゃいけなくなるのかしら? というか、かなり交渉の仕事があるような感じだけど」

「ドリューによると、交渉の大半はリモートでできるらしい。まあ、特にニューヨークとシリコンバレーには何回か行かなくちゃいけなくなるのは確かだけど。ワシントン州もあるかな。でも、あんまり出張はないと思う。出張はうんざりと思うほどにはならないと思う」

「何だか、彼らの提案を受ける方向に傾いているように聞こえるけど?」

ジェイクはそこまでは気持ちができているわけじゃなかった。「まあ、彼らがどんなのを用意しているのか見てみようと思ってるんだ。そうしてから、決断しようかなと」

そんな時、アドキンズ一家が、部屋へと集まり始めた。アンドリューは部屋に来ると、ひとつの壁にあるドアを開いた。そこには見たこともないほど巨大なフラットのテレビがあった。これを買うにはひと財産使ったはず。ここの人たち、本当にすごいおカネを持っているんだろうな。

とうとう、みんなが集まった。ドニーとディアドラは並んでひとつのカウチに座った。それぞれ男の子を膝に抱いている。どっちの子も親指をしゃぶっていた。アンドリューは左右の膝のそれぞれに女の子を乗せて、リクライニングに座った。もうひとり幼い女の子はジェイクの膝に登った。子供のなつき具合から、ジェイクが前にもこの家に来たことがあるのは明らかだった。

もうひとり女の子がいたはず。その子が私の膝に乗りたがるかもしれないと思って、部屋を見回したけれど、どこにもいなかった。

テレビのスイッチが入り、映画が始まった。多分、ディズニーの子供向けの映画だろうなと想像していたが、実際は、60年代の古い映画だった。主演はポール・ニューマンとジョアン・ウッドワード(参考)。「パリが恋するとき」(参考)という映画。観たことがないと思うけれど、とても良い映画だったと認めざるを得ない。軽いコメディー映画だった。

ジョアン・ウッドワードは、冴えないファッションデザイナーで、重要なデザイナーのデザインを盗むためにパリに派遣される女性の役。一方のポール・ニューマンは新聞記者だが、上司の妻を寝取ったためパリに左遷される男の役。

子供たちは、ひとり、またひとりと大人たちの膝から降り、床に寝転がって映画を見ていた。私は、残る最後の女の子はどこにいったのかと、いまだに不思議に思っていた。


[2021/05/20] デス・バイ・ファッキング 第17章 | トラックバック(-) | CM(0)

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