駐車場はいっぱいになっていて入れなかった。仕方なくビルの角を曲がり、ようやくそこに空きスペースを見つけた。車を止めて、エンジンをきり、しばらく運転席に座ったまま考えた。……本当にお店に顔を出すべきかどうか。
改めて駐車場を見回した。こんなに車が止まっているということは、お店もすごく混んでいるのは確か。しかも、みんな男たち! だって、こういう場所に男以外で誰が来るというの? そして、もう一度、自分の格好を見てみた。こんなに肌を露出している。ああ、ほんとに、こんなに……そして、こんなに小さなお店なのに、男たちでいっぱいだとしたら! すでに肌を露出しているけど、これ以上は絶対に肌を見せないよう、すごく注意しなくちゃいけないだろうな……。
気づくと、乳首が固くなり始めていた。それに脚の間も湿っぽくなってきている。ちょっとだけ、顔を出してくるのがいいかも。あんなに喜んでいたベティに悪いし。彼女に挨拶して、すぐに出てくれば構わないのじゃ? あたしがこういう格好してきたのは、そもそも男たちに見てもらって、焦らしてあげるのが目的だったのに、どうして、今になって怖気づいてるの? ダメよ、やっぱりお店に顔を出すべき……ほんの少しだけでいいんだから。
大きく深呼吸して、車のドアを開け、片脚を外に出した。もう一方の脚はまだ車の中。ちょうどその時、車のそばを男の人がふたり通りかかった。びっくりして、一瞬固まってしまった。ひょっとすると脚の間が見えてるかも! ちらっとその人たちを見たら、なんてこと、やっぱりあたしの脚の間を目を凝らしてみてるじゃないの!
素早くもう一方の脚を車から出して、両膝をくっつけて脚をそろえた。ふたりのことは無視して、何も起きてないようなふりをして、平静を装った。見えたとしても下着だけなんだから。
あ、違うわ! あたし、今は股間のところが開いてるパンティを履いているんだった。だとしたら、あそこの唇も……もしかすると、あそこも見えていたかも。
男の人たちはふたりとも、ヘッドライトに照らされた鹿のような目をして、舌なめずりしてた。濡らした唇がすぐに乾いてる。
ああ、ふたりともあたしのパンティを見たんだ。多分、それ以上、見られたかも!
車から出る時にも大きく息を吸ったけど、この時も、立ち上がる前に深呼吸しなくちゃいけなかった。肩で息をしたせいか、ドレスがずり上がるのを感じた。腰をちゃんと包んでるはずなのに、ここまで運転してきた間にずり上がっていたのか、もっと上までずり上がっている。
彼らに見られないようにと後ろ向きになったけど、それでもふたりの視線が向けられているのは感じていた。今度はお尻を見られている。どのくらい見せてしまってるんだろう? それとなく目を落として確かめたら、ドレスの裾が股間のところまで上がってるのが見えた。ということは、あの男たち、あたしの脚からお尻まで全部見たってこと?!
「ああ、もう! あたしったら、なんでこんなことやってるの?」と小声でつぶやき、ドレスの裾を引き下げた。
でも、あんまり強く引き下げないよう、注意しなくちゃいけなかった。強く引っ張ると、今度は上の胸の方が飛び出てしまうから。
ちゃんとした格好に戻ってると期待しながら、男たちの方に向き直り、横を通り過ぎた。最大限の意思の力を振り絞って、ふたりが見せてる飢えた顔を無視した。心臓がものすごく早く鳴っている! ふたりからちょっと離れたところまで来たとき、ふたりの話し声が聞こえた。
「おい、すげえエロいな!」
「ああ、まったくだぜ。あの女、ポルノ女優だと思わねえか?」
「ああ、そうに違いねえ! ありゃ、ポルノスターだぜ。お前、あのパンティ、見たか? まんこが見えてたぞ! お前も見ただろ?」
あたしがポルノスター?!
ビルの角を曲がるとふたりの声は聞こえなくなり、あたしは入口へと向かった。
ああ、やっぱり、あの人たちにはアソコを見られていた! それはそれで、最悪なことだったけど、急に普通じゃないゾクゾクしたスリル感が沸いてきて、息づかいを普通に戻すのが大変だった。入口のドアの前に立ち、いったん大きく息を吸ってから、ドアを開けた。
すぐに目に入ったのは、群れをなす男たちの背中ばかり。みんな立っていて、部屋の向こうの壁際に設置されたステージのようなものに顔を向けていた。
この作品、ずっと楽しみにしていました。またこうやって続きを発表していただきうれしいです。
[2021/05/23 06:47]
あつし
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あつし様
せっかく応援のお言葉をいただいたのに、お返事できず、また更新も止まってしまい、申し訳ありません。
ちょうど5月下旬から別用が立て込んでしまい、放置することになってしまいました。(ああ、これだから、オレって:泣)
ようやくボチボチと再開できそうです。どうか見放さないでください。
[2021/07/16 11:29]
Ashe
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