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デス・バイ・ファッキング 第17章 (12) 

映画の中盤にかけて、ジョアン・ウッドワードは、メイクアップ、衣装そして新しいカツラのおかげで、とても可愛く変身した。そして、まさに映画がそのシーンになったとき、私は、ここにいるディアドラとドニーがジョアン・ウッドワードによく似ていると気づいたのだった。そして、その映画を見ていたまさにその部屋で、私の目の前で、あの光景が展開していったのである。そして、アンドリューは映画に集中できなくて困っているように見えたのだった。果たして、それはどんな光景だったのか?

ディアドラもドニーも気づかないふりをしていたけれども、私には、ふたりともアンドリューの視線をしっかり感じていたと分かる。ふたりとも、カウチに座りつつも、何度も座りなおしたりを繰り返していた。そして、そうやって態勢を変えるたびに、ふたりのスカートは少しずつめくり上がっていた。アンドリューは、ふたりが見せる脚の肌に目を奪われているように見えた。この男性、深刻な状態と言えるほどムラムラしている。みんなが思っているように、本当にセクシーな男性なのかもしれない。

アンドリューはいったんキッチンに行き、そしてすぐに戻ってきた。あっという間にみんなにポップコーンとフルーツジュースが用意された。この人、とても家庭的な男性でもあるのだ。私は感心した。

映画は終盤に差し掛かっていた。寝室のシーンがあって、そのシーンではジョアン・ウッドワードはポール・ニューマンを誘惑しようとセクシーなネグリジェ姿になっていた。

そして、ちょうど良いシーンになりそうというところで、映画の中のジョアン・ウッドワードが突然、カメラ目線になったのである。まっすぐアンドリューを見ているように見えた。

そして彼女が言ったのだった。「パパ、どう思う? 私、上手にできてる?」

ジェイクがジュースが入ったグラスを床に落とした。みんなでトワイライトゾーンに入ってしまったの?

アンドリューが笑顔になって言った。「悪くないよ。この前のよりはこっちの方がずっと好きだな」 次にアンドリューは、ジェイクと私に顔を向けて、「先週、彼女は『エミー・ダズ・ダラス』(参考)で主演をやったんだ。観てて恥ずかしかったけど、エミーが女優としてデビーより上手なのは認めようと思ってるんだ」と言った。

画面の中、ジョアン・ウッドワードの顔をした人がジェイクと私の方を見た。「これは、私たちがVVと呼んでるものなの。バーチャル・ビデオ(Virtual Video)でVV。主要な登場人物は全員、デジタル化されているわ。バーチャルのヘルメットがあって、それを被ると登場人物のひとりになれるの。私はジョアン・ウッドワードになりたかった。パパがジョアン・ウッドワードの熱烈なファンだから」

アンドリューは困った顔をした。「エミー、僕のことをダシに使わないように!」

画面の中のジョアン・ウッドワードは笑って、彼に投げキスをした。これだけでもシュールな状況なのに、驚いたことに、画面の中のポール・ニューマンはジョアンに向かって、「どうしたんだ? 台詞を忘れたのか?」と言い出した。

ジョアンはポールの方を向いて「お黙り!」と言った。ポールは、あのトレードマークの「どうでもいいや」という微笑みの表情をした。

ジョアン(エマ)は私たちの方に向き直って話を続けた。

「台本はあなたの目の前に表示されているでしょ。今は7か国語でできる(だって、言語はそれしかしらないから)。でも、市場に出せる準備ができる頃には、すべての主要な言語はカバーできるでと思うよ……」

「……台本からちょっと逸れることもできるわ。でも、今のところは、大きく逸れてしまうと他の役者たちがついていけなくなるの。他の役者もバーチャルなら可能だけど。それに、役者の声を使うことも、自分の声を使うこともできるよ」

突然、ジョアンの口からエマの幼い声が出てきた。そして、顔や姿かたちが変形して、エマのイメージに変わった。これって、本当に変な感じ。

「ヘルプモードもあるのよ。演技のヘルプでも、批評的なヘルプも。見てみたい?」

ジェイクも私も頭を縦に振った。エマがどこにいるのか、私には分からなかったが、彼女の方は私たちが見えているに違いない。

「ヘルプについては数段階のレベルをプログラムしておいたわ。これは『パパのご講義』ヘルプモード」

ポール・ニューマンがゆっくりとあんどりゅー・アドキンズの姿に変わり、またゆっくりとポール・ニューマンの姿に変わった。

そのポール・ニューマンがしゃべりだした。「エミー、それはとても良いよ。でも、シーンにもっと気持ちを込める方法を知らなくちゃいけないよ。取り掛かる前に、自分が何を求めているかを頭に描くんだ。そして、本当の気持ちを隠さず、表に出す。A)自分の内面を見つめて、単語の意味をしっかり知ること。B)それから……」

彼はその後もだらだらと何かしゃべり続けた。エマの姿が元のジョアン・ウッドワードへと戻り、そのジョアンは指を自分の喉奥に入れて、オエッっと吐き出しそうな声をあげた。

「もう充分だよ! ジョークの意味はみんな分かったから」とアンドリューが言った。

ジョアンは少し微笑んだ。「それに『パパの運転』ヘルプモードもあるよ」

突然、ポール・ニューマンが立ち上がり、怒鳴り始めた。「お前、いったい何やってんだよ! お前、バカか、うすのろ!」

子供たちが皆クスクス笑い出した。ふたりの妻たちも笑っていた。

アンドリューが言った。「みんな、ヘルプモードの要点は理解したと思うよ。だから、もう終わりにしよう。僕が暴力的になって、役者たちをひどいやり方で排除し始める前にね」


[2021/05/23] デス・バイ・ファッキング 第17章 | トラックバック(-) | CM(0)

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