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デス・バイ・ファッキング 第17章 (13) 


ふたりいる妻たちのひとりが私たちの顔を見て言った。「ドニーもあたしも、この20年ほどのエンターテインメントが向かって来た方向に、とても心配しているの。子供たちはほとんどの時間、何らかの装置の画面に目を向けて過ごしているように思うから。パソコンの画面とかテレビとかゲームとか。この世代は、何かを行う種族のではなく、何かを見る種族になってきているわ。だから、エミーに、行動の一部に参加できるような方法を考えてって頼んだわけ。その成果が、これなのよ」

それを聞いて、私もジェイクも圧倒された。この技術は、私が知ってる中で、最も目を見張る技術だ。しかも、それを開発したのは7歳の子供たちだとは。隣でジェイクがつぶやくのが聞こえた。「どうやら、このオファー、真剣に検討すべきなようだ……」

エマがスキップしながら部屋に入って来た。その姿を見て、改めて彼女がまだ幼い子供だと思い知らされる。彼女はアンドリューの膝の上に飛び乗って、抱きついた。アンドリューはエマの脇の下をくすぐり、それを受けてエマはキャッキャッと笑い転げた。天才と超天才の間で行われる交歓の行為としては、あまりに家庭的すぎるやり取りに見える。

そのエマがジェイクに言った。

「ねえ、ジェイク? 新しいオペレーティングシステムを発表するとき、あたしたち、それがどれだけ優れているかを証明するコンテストを開催したいと思ってるんだ。みんなが知ってるIPアドレスでシステムを立ち上げるつもり。その上で、そのシステムにハッキングできたら、誰にでも100万ドルをあげるの。地球上のすべてのコンピュータおたくに参加してもらいたいから……

「……あたしの妹たちもコンピュータおたくで、2年位前に、政府がうちのデータベースに侵入しないようにファイアウォールを作ったわ。で、最後のファイアウォールの後ろにちょっとしたモノを置いておいたの。そこまで突破できた人へのご褒美としてね。でも、誰もできなかった。それに、そもそも、あたしたちのデータベースはそのコンピュータに置いてなかったし……

「でね、今度のにも同じことを仕掛けておいたわ。だからうちのオペレーティングシステムに侵入できた人は、100万ドルに加えて、コレもゲットするのよ」

そう言って、エマはリモコンのスイッチを押した。突然、画面にドニーとディアドラのほぼ等身大の画像が現れた。互いに抱き合いながら素っ裸で眠っているふたりの画像だった。私は息をのんだし、隣のジェイクも息をのんだ。こんなセクシーなヌード画像は見たことがない。

妻たちのひとりが小さい声ながら叫び声をあげた。「アンドリュー! あなた、この写真は隠しておくって約束したでしょ!」

アンドリューは申し訳なさそうな声を出そうとしたが、少なくとも私やジェイクと同じく画像にじっと見入っていたのには変わりがない。

「ディー・ディー、エマが何かをしたいと思ったら、僕が何をやっても止められないって。君も知ってるだろ? それに、これは優れたアートだよ。僕が撮った中でも最高の作品だよ」

ディアドラとドニーのふたりとも、顔を真っ赤にしていた。でも、私もちょっと応援したい気持ちだった。

「本当に。アンドリューの言う通りですよ。とても美しい写真ですよ。どうかご検討していただきたいのですが、これを『コスモ』誌の編集局に見せるのを許してほしいです。絶対、表紙に使いたいと言うと思いますよ。そうでなくとも、少なくとも私の記事のトップには必ずなります。それほど、目を見張るような素晴らしい画像だもの!」

妻たちはアンドリューを睨み付けていた。一方、アンドリューは無邪気に平然とした顔をしていた。エマのしたことも無邪気なことなら、アンドリューも無邪気な気持ちなのかもしれない。種馬状態のアンドリューだけど、今夜は、珍しく仕事から解放される夜になるんじゃないかしら。

ようやく、妻たちのひとりが子供たちに「もう寝る時間よ」と言った。子供たちは、ちょっとぶつぶつ文句を言ってたけれど、大半が目を擦っていたのも事実。女の子も男の子もそれぞれ寝室のある二階へと上がっていった。ひとりエマを除いて。


[2021/07/17] デス・バイ・ファッキング 第17章 | トラックバック(-) | CM(0)

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